提供:ことりっぷ
美濃焼の町・岐阜県多治見市の観光スポット、本町オリベストリート近くにある「喫茶ひしや文具店」。老舗の文具店に喫茶が併設されていて、コーヒーやケーキを味わってくつろぎながら、文具のお買い物も楽しめます。モザイクタイルの作品で彩られた、レトロモダンな喫茶の雰囲気も魅力的。地元の人や観光で訪れた人が思い思いに過ごし、ゆったりとした時間が流れています。多治見の町を散策して、ひと休みに立ち寄ってみませんか。
明治創業で町に根差した文具店
壁にタイルを配したノスタルジックな風情の外観
美濃焼とモザイクタイルの町として知られる、岐阜県多治見市。名古屋駅からはJRで約40分とアクセスしやすく、うつわ探しや観光に訪れる人も増えています。
かつて美濃焼の陶磁器問屋が軒を連ねた多治見駅近くの通りは本町オリベストリートとして整備され、町を訪れた人がそぞろ歩く観光スポットに。この通りから2ブロックの場所にあるのが「喫茶ひしや文具店」です。
喫茶の雰囲気となじむような入口付近のディスプレイ
「喫茶ひしや文具店」は、明治30年頃に和文具と木版刷りによる和帖を販売する店、菱屋として創業。昭和40年には「ひしや」となり事務用品や文房具を中心に販売、初心者でも手に取りやすいような万年筆、併設の喫茶と親和性の高い文具雑貨などもそろっています。
取材中にも、「○○ある?」と近所の人がふらりと店に入ってくるなど、町の文具店として親しまれていることが伝わってきます。
ロングセラーの「コクヨ測量野帳」550円。岐阜モチーフを散りばめた岐阜版や、ひしやオリジナルデザインもあり、旅のおみやげにおすすめ
手紙を書ける場所として店内に喫茶をオープン
店の正面や側面の窓から外光が入り、ほどよい明るさの店内
現在ひしやの代表を務めるのは、4代目の大橋宏さん。お客様のニーズに応えつつ、時代の移り変わりも見据えながら、老舗を大切に受け継いでいます。
喫茶を設けたのは2019年。“ゆっくり手紙を書けるような場所があれば”と思い、店内の一角を改装して喫茶に。老舗の風格あるたたずまいとなじむ落ち着いた空間で、多治見らしさを感じるモザイクタイルがアクセントになっています。
店内のあちこちに配されているモザイクタイルの作品
基調となっている緑のタイルの中に配置されているのは、モザイクタイル装飾家の曽根研氏が手がけた作品。一つひとつ異なるデザインで、なかには貴重なヴィンテージタイルも使われているので、ぜひじっくりと眺めてみて。
昔から店にあった調度品や、文具メーカーの名前が入った懐かしいグッズなども生かした店内。時を告げるボーンという音があたたかい振り子時計も、レトロな雰囲気を醸し出しています。
所々に散りばめられている、喫茶ひしやのモチーフ、ツバメの姿も探してみて
どの時間帯にもマッチする豊富なメニュー
カウンターからはコーヒーやサンドイッチのオムレツなど、おいしい香りがふんわり漂ってくる
喫茶の店主を務めるのは奥様の久美子さん。多治見市内のカフェに勤めていた経験を生かして、季節ごとに変わるケーキやクッキーを焼くなど、喫茶全般を担当しています。11時30分まではモーニングサービス、それ以降はバケットサンドやホットサンドを軽食にしたり、ケーキやデザートを楽しんだり、それぞれのおめあてを求めてお客さんが来店。ここで過ごす時間を日課とする地元の人や、多治見観光のひと休みに訪れる人などが思い思いにくつろいでいます。
「ほうじ茶のレアチーズのタルト」660円。ホットコーヒーは「ひしやブレンド」500円
コーヒーは“まろやかな味になり、冷めてもおいしいから”と、ネルドリップで抽出。美濃焼を多く使っているというマグカップは、オリベストリートで手に入る地元の窯元の品もあるそうなので、気になった器があれば、ぜひ尋ねてみて。
チーズケーキは季節の素材を取り入れたり、レアとベイクドを使い分けたりと季節にあった味わいに。初秋の「ほうじ茶のレアチーズのタルト」に続いては、栗を使ったチーズケーキが登場する予定です。
紅葉をイメージした「秋色のクリームソーダ」660円。文具コーナーで選んだレターセットで手紙をしたためながら味わってみては
文具、喫茶、タイル…多様な魅力をじっくり味わって
ベネチアングラスがさりげなく輝く、カウンター横のロゴも素敵
地元の人にも観光客にも愛される「喫茶ひしや文具店」。文具と喫茶、店内を彩るモザイクタイルと多様な魅力を備え、日常にも観光のワンシーンにもなじむ心地よさに満たされます。多治見の町に根差したとっておきのお店で、ゆったりと過ごしてみませんか。
文:豊野 貴子、写真:山本 章貴