【鳥取編】民藝が息づく鳥取のランドマーク「鳥取民藝美術館」を訪ねましょう

【鳥取編①】民藝が息づく鳥取のランドマーク「鳥取民藝美術館」を訪ねましょう

提供:ことりっぷ

 

贅沢なものだけに高い美があるのではなく、実用品にこそ健康な美が宿るー。そんな民藝運動の精神を受け継ぐ窯元が今も多く残る鳥取県。その礎を築いた人物が、医師であり、鳥取の民藝プロデューサーでもある吉田璋也(よしだしょうや)です。

彼が故郷に創設した「鳥取民藝美術館」は、鳥取の窯元や作り手に大きな影響を与えてきた場所。うつわをめぐる旅のスタートに、まずはここを訪ねてみませんか。

 

うつわを中心に、吉田璋也が残した民藝品が並ぶ

「鳥取民藝美術館」の創設者である吉田璋也は、柳宗悦が中心となった民藝運動に共鳴し、鳥取の陶芸・木工・金工などの職人を束ねて現在の暮らしに寄り添う「新作民藝」の創出にも情熱を注いだ人物。民藝の魅力の発信する目的と鳥取の民藝運動の拠点として1949(昭和24)年に創設されたのが、今回紹介する「鳥取民藝美術館」です。

館内に並ぶのは、国内をはじめ、韓国、中国、東南アジアなど世界各地から収集した民藝品の数々。そのどれもが無名の作り手によるもので、木工、家具、染織、和紙など約5000点以上が収蔵・展示されています。地域ごとの風土や生活様式を色濃く映し出した展示品が多く、どんな暮らしの中で使われたのか想像しながら眺めるのも楽しいですよ。

なかでも力を入れているのが、うつわの展示。吉田璋也が興した新作民藝のうつわも館内で見ることができ、黒と緑の大胆なカラーリングが印象的な「染め分け皿」はその代表作。鳥取で開窯した「牛ノ戸焼窯元」に自ら指導に入って生み出したデザインは、約100年経った今でもモダンな雰囲気を漂わせています。ほかにも鳥取県の中井窯のカップ&ソーサー、島根県の出西窯(しゅっさいがま)の碗など、民藝運動の流れをくむ山陰のうつわが展示されています。

 

吉田璋也デザイン&プロデュースの作品も展示

鳥取民藝美術館を訪れたら、吉田璋也がデザイン&プロデュースを手掛けた展示品もぜひ鑑賞してください。たとえば、2階展示室に並ぶ椅子。椅子の脚跡が畳につかないように「畳摺」という板を底部に設け、畳の部屋でも使える改良を加えたのだそう。体にフィットする設計デザインやさりげない意匠も、もちろん吉田璋也によるもの。館内にある椅子は、一部を除き実際に座ることもできるので、ぜひ座り心地を体感してくださいね。

ほかにも、先の反った中国の青龍刀からヒントを得た「パン切りナイフ」、溝にパンくずが落ちる工夫を施した「パン切台」、映画監督・小津安二郎の作品にも何度も登場した「木製電気スタンド」など、デザイン&プロデュースした品は実にさまざま。鳥取の伝統技術と地元素材から作り上げた品々は、併設する「鳥取たくみ工芸店」で購入することもできますよ。

 

細部にわたる創意工夫。館内の意匠にも注目を

「建築も民藝である」という考えのもと、設計や意匠までも吉田璋也が手掛けているというから驚きです。土蔵造り風の外観をはじめ、手すりのデザイン、障子窓の組子細工、スイッチやコンセントのカバーといった細部にわたって、機能的かつ美的な工夫が凝らされています。暮らしを豊かにするヒントがたくさんあるので、展示とともに建物自体にも注目してください。

吉田璋也が手掛けた施設は鳥取民藝美術館だけではありません。民藝品を生活に取り入れてもらうために「鳥取たくみ工芸店」を、そして器の使いごこちを食事とともに味わえる「たくみ割烹店」を誕生させました。JR鳥取駅からほど近い場所に3軒が並んで建ち、通称「民藝コーナー」として、全国の民藝好き、うつわ好きに愛されているスポットです。見て、買って、食べて。鳥取メイドの民藝とうつわの魅力を、存分に楽しんでくださいね。

 

 

 

 

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