目に写るのは一面の雪景色。スノーモービルで登る標高約2,100mの山小屋「麦草ヒュッテ」に泊まり、星空観察やスノーシューハイキング。そして冷たく凍りついた白駒池を目指します。
普段は本格的な登山をしないと立ち入れない、透き通る白銀の世界で、五感を解き放つひとときをお楽しみください。
麦草峠という峠を知っていますか?
「国道で2番目の標高」、「メルヘン街道(国道299号)の最高地点」
といってもピンとこない人も、日本有数の苔の森のある白駒の池がある場所、と言えば分かるかもしれません。
国道が、八ヶ岳の北部を通過するところで、最高地点はなんと標高2,100mを越えています。
そんな麦草峠に、大きな赤い三角屋根が印象的な山小屋があります。
そこが今回の舞台になる麦草ヒュッテ。
緑の草原の中、青い空を背景にしてたたずむ小屋の姿は、まるでアルプスの少女ハイジの世界のようです。(私はスイスに行ったことはないのですが…)
2017年に60周年を迎えた麦草ヒュッテを切り盛りするのが、ヒュッテと同い年のご主人、島立正広さん。
山小屋の主人というと少しとっつきにくいオヤジ、というイメージもあるかもしれませんが、島立さんはいつもニコニコしながら私たちを迎えてくれます。
どちらかというと親戚のおじさん、という感じでしょうか。
私が初めて麦草ヒュッテに行ったのは、「苔の森開き」の時。
雪が解ける5月末、苔たちが生き生きとした緑の姿を現すシーズンの初めに、その年の安全を祈願する神事、苔の森開きが行われます。
その前夜祭で麦草ヒュッテに宿泊し、昼間には島立さんのガイドによる苔の観察会に参加しました。
それまで私は苔についてあまり興味はなく、じっくりと観察することもなかったのですが、よ~く見てみると実は多種多様な苔の世界。
大きな苔や小さな苔、木のような姿をしたものや、馬のしっぽのような苔もあります。
そんな苔の世界に「ハマっちゃった♪」と話す島立さん。
「普段見たことのない苔を発見して『新種発見か!?』と思ったんだけど、調べてみると実はここより標高の低いところには普通にある苔だったんだよね(笑)」
といった苔の話を実に楽しそうに話してくれます。
と、ここまでの話では緑の苔むす「もののけ姫」のような麦草峠をイメージしているかと思いますが、それは雪のない季節のこと。今回のツアーで出会えるのは全く違う白銀の世界です。
麦草峠は冬の積雪が多く、一般国道でありながら道路が雪に閉ざされてしまうため、冬季には閉鎖されてしまいます。
麦草ヒュッテはその閉鎖区間の真っただ中にあるため、冬の間はバスやタクシーで行くことはできませんし、もちろんマイカーでも行けません。
でも大丈夫。
麦草ヒュッテでは、冬でも訪ねてくれるお客様のために、スノーモービルでの送迎を行っています。
だから「長く歩く体力には自信がないな」、「冬山はちょっと心配」という人でも冬山の素晴らしさ、楽しみを味わうことができます。
「ここは冬の景色こそ綺麗なのにね、地元の人でもなかなかそのことは知らないの」と話す島立さん。
人がほとんど立ち入ることのない冬の麦草峠では、自然そのままの風景が見られます。
車の轍はもちろん、人の足跡も無い雪原には動物の足跡が残っていたり、ガラスのような樹氷と、「八ヶ岳ブルー」と呼ばれる真っ青な空とのコントラストを見ることができたりします。
さらに、そんな素晴らしい景色の中を散歩感覚で楽しめるのがスノーシュー。
昔風に言えば「かんじき」ですが、これを履けば普通の靴で歩けば腰まで埋まってしまうような新雪の上でも歩くことができます。
まるで、真っ白な雲の上を歩くような感覚。
坂の上からフワフワの雪の中にダイブ!といった楽しみ方もできます。
「山小屋の良さはね、食事の後もみんなが集まって、小屋のスタッフとお客さんが一緒に飲みかわしながら話せることかな」。
夕食を食べ終わって就寝までのひととき、暖かい薪ストーブの周りに人が集まってきて、自然と団らんの時間が始まる。
そんな交流の時があるのも山小屋ならでは。
都会にいると、電車の広告やテレビなど目に入る情報が多く、人の声や車など音も絶え間なく聞こえてきます。
シンプルな冬の麦草に来ると、普段の生活がいかに情報に溢れているか、自分がいかにその環境に慣れてしまっているかに気付くかもしれません。
人工物がゼロ、音もゼロ、気温はマイナスの世界では、感覚が研ぎ澄まされてきます。
そうするとそこが実はゼロの世界ではなく、色々なものがあふれていることに気付くと思います。
雪の白と、空の青の色彩。
雪がさらさらと落ちる音、風の音。
夜は月明かりに照らされる雪原がまぶしいくらいかもしれません。
厳しい寒さでありながら、冬の本来の美しさを見せてくれる麦草峠。
ぜひ遊びに来てみませんか?
(文:米田 信吾)
-
- 10:30
- 茅野駅にご集合。大きなお荷物は駅のコインロッカーにお預け下さい。
車とスノーモービルで麦草ヒュッテへ移動。
- 12:00
- 麦草ヒュッテに到着後、自由昼食。
※1日目と2日目の昼食は各自でご用意ください。山小屋でもご注文の上お召し上がり頂けます。
※おにぎりなどのごはんものは凍ります!パンなどがお勧めです。
- 13:00
- 山小屋の冬の暮らしを体験します。
山小屋スタッフとともに冬の山小屋だからこそできる体験を楽しみます。
例:動物の足跡を辿るアニマルトラッキング、雪の結晶鑑賞、薪ストーブ体験など。
- 16:00
- 夕食までごゆっくりお過ごしください。
- 17:30
- 夕食と団らん。
- 20:00
- 夜は八ヶ岳の星空観察へご案内。
(暖かい服装をご用意ください)
-
- 8:30
- 山小屋にて朝食後、スノーシューハイキングへ出発。
「麦草ヒュッテ」を出発し、冬の白く美しい八ヶ岳の森の中を抜け、白駒池を目指します。
※ほぼアップダウンのない平坦な道になります。
厳冬期、池は全面凍結。冬ならではの凍結した池の上も歩けるかも?
- 11:30
- 山小屋に戻り、自由昼食をお召し上がりください。
- 13:00
- 山小屋を出発。
スノーモービルまたは徒歩(約2時間)で冬季封鎖ゲートまで下り、車にて茅野駅へ向かいます。
- 16:00
- 茅野駅にて解散。お疲れ様でした。
- ツアー名
- 標高2,100mに泊まる、大人の雪遊び
- 旅行代金
- 大人(中学生以上):28,000円(税込)/お一人様あたり(相部屋にてご利用の場合)
※山小屋の宿泊を個室希望の場合はおひとり様1,500円増しとなります。
(空き状況によります)
※中学生以上のお客様が対象コースとなります。
- 募集人員
- 8名様(定員になり次第締め切ります)
- 最少催行人数
- 4名様
- 宿泊先
- 麦草ヒュッテ(長野県茅野市 北山8241-1)
- 参加方法
- 申込書をダウンロードの上、メールまたはFAXにてお申し込みください。
- 申込期間
- 2018/2/9まで ※〆切後でも空き状況によりご参加いただけることがあります。ご希望の方はお問合せください。
- その他
- お申込は先着順になります。
モニターツアーのため、アンケート及び写真撮影にご協力ください。
申込・ツアー詳細・旅行条件等は、下記をダウンロードの上、ご確認ください。
寒さと乾燥を生かした「凍み」の工夫が詰まった郷土料理を地元の方々と作り、テーブルを囲んで食を楽しむひとときを。その他、薪ストーブのある古民家を訪ねたり、手づくりの麹を使った味噌づくり体験など、厳しい冬を生き抜く集落の暮らしに迫ります。宿泊は創業百年の秘湯をもつ温泉旅館「渋・辰野館」で寛ぎの時間をお過ごしください。
「笹原(ささはら)」という集落は、八ヶ岳の麓、標高1,100mのところにたたずむ小さな集落です。
初めてここを訪ねたのは初夏。田んぼに水がはられ、田植えを終えたばかりの5月末のよく晴れた日でした。
笹原では、いくつかの古民家が残る集落が小さくまとまっていて、それを囲むように田んぼが広がり、背景に山々がそびえています。
太陽のやさしい光を浴びて光る水田、八ヶ岳やアルプスの壮大な姿、道沿いに流れる用水路の水音。雄大な環境を五感で味わうと、心が落ち着きます。
集落を歩いてみると、まるで昔にタイムスリップをしたような気分を味わえます。
立派な蔵のある古民家が並び、今もていねいに維持されているかわいらしい日本庭園と池があり、鯉が泳いでいます。
ここではまるで、時間が止まったようです!
ほとんどの家にある「蔵」もこの集落の特徴です。漆喰でていねいに仕上げられた蔵には、こて絵も飾られています。
「こて絵」って知っていますか?
蔵の壁を塗る左官さんが、壁を塗るための「こて」で描いた立体的な絵のことです。
ただの絵ではなく、龍、亀、虎、大黒様など、防火や家庭繁盛の意味をもつ様々なシンボルを描くことで、蔵の持ち主の家の繁栄と幸福を願うものです。
集落のことをもっと知りたいと思って、紹介してもらったのは房子おばあちゃんです。
笹原生まれ笹原育ちの房子おばあちゃんは89歳ですが、今でもとてもお元気で、地域ならではの郷土料理づくりのエキスパートです。
笹原は標高1,100メートルもある山村で、強烈な四季が特徴です。
特に冬の寒さは印象的で、「こどものころ、朝起きたら布団の口に近いところが息で凍っていた」と地元のおじいさんは語ります。夜にはなんと、-25℃になったこともあるそうです! 笹原の人たちの強さは、この土地の乾燥した厳しい寒さとの共存の結果なのだと感じました。
寒すぎる笹原では、冬に農業はできません。
そのため、作物の取れない冬から春の間に備えた保存食づくりがここの人たちの大切な仕事です。
長野県らしい野沢菜漬けなどのほか、土地ならではの食材が、寒天、凍み大根、凍み豆腐、氷餅。
これらはどれも、外に干しておいて凍らせてから乾燥させる、いわば天然のフリーズドライ食品。
「凍みる」と言われる厳しい寒さと、晴れの日が多い乾燥した気候があるからこそできるものです。
本来マイナスにしか思えない「厳しい寒さ」をプラスに利用する知恵に感動しました。
こんなに機知に溢れる料理をぜひ食べたいと言ったら、「どうぞあがってください」と房子おばあちゃんに誘ってもらいました。
食材として使ったのはもちろん寒天、そして凍み大根と凍り豆腐。
さらに春らしさをプラスしようと、集落の周辺に生える山菜を探しに出かけ……房子おばあちゃんが選んだのは、1mを超える大きなフキ!
(房子おばあちゃんの隣にいるのが筆者です)
その日、房子おばあちゃんに作っていただいた料理を食べながら、私は何度も感動しました。
寒天を使った「天寄せ」(この地方では、寒天で固めた料理をそう呼びます)のエレガントな透明感、鮮やかな色やデリケートな味。凍み大根の不思議な触感やフキの優しい苦み。
素朴な味わいで知恵の詰まったあったかい郷土料理でした。
房子おばあちゃんには仲間がいます。
房子おばあちゃんは戦後の栄養不足を目にして、地域のこどもを元気にするために郷土料理を活用できないかと思い、長年料理の研究をしてきました。それを地元の学校で教えるなど、様々な活動を行う房子おばあちゃんのまわりに地元や移住者の女性達が集まり、一緒に地元の食文化を次の世代に繋げようと活動しているのです。
「笹原の深い食文化の伝統を、色んな人に体験してほしい」
そう思って房子おばあちゃんに相談したところ、おばあちゃんと一緒に仲間たちが集まってくれました。
という流れで、今回の旅が実現しました!
笹原に着いたら、コミュニティセンターでおばあさん達と一緒に集落の話を聞きながら、地元の料理を作ります。
完成したらもちろん、テーブルを囲んで一緒にいただきます。
おばあちゃんたちに地元の話や暮らし方の話を聞きながら、まるで家族団らんのような、楽しい食事の時間です。
笹原が、あなたのもう一つの故郷になるかも?
二日目は笹原地区から車で10分の場所にある、槻木地区へ。
「火を扱うこと、刃物を扱うこと、米を作ること。この3つの力を生きていく上で身に付けて欲しいなぁ、と思うんです。」
そう語る東城高太郎さんは、薪ストーブの家で、自分で作った包丁を使って料理をする、お米農家さんです。
昔は普通だった、自分が食べるものは自分で作るあたり前の暮らし。
衣食住のほどんどが手を動かさずに揃う時代に、東城さんは味噌や醤油をはじめ、普段から手で作れるものは、なるべく手作りして暮らしています。
茅野の寒い冬を過ごすときは、いつもはんてんスタイルの東城さん。
「うちでは小麦を育てていないから、パンはほとんど食べないんです。」そう話しながら、突然はんてんの袖からお弁当代わりのおにぎりが出てきたりします(笑)
住まれている家は築110年以上の古民家。道路拡張工事の為、以前あった場所から移築されたのですが、移築前は2階建てで大きな梁と大黒柱を持つ立派な家だったそうです。
今は1階建てに改築されていますが、梁と大黒柱は今でも変わらず東城家を支えています。
「ご飯と味噌汁と、畑で採れた野菜ぐらいしかないですが、よかったらご飯を一緒に食べていきませんか。」東城さんちに遊びに行くと、よくお食事に誘われます。
食卓は薪ストーブのおだやかな炎が暖めてくれる落ち着くリビングで。ついついいつも長居してしまいます。
自分で作る暮らしは、満たされるものがあり、自分の事をどこか誇らしく感じること。
自分で作る食事は、理屈を超えてとても美味しく感じること。
東城さんの暮らしを一緒に体験させてもらうと、そんな東城さんの手作りの暮らしの喜びが伝わってきます。
自然環境の事を考え、無肥料無農薬の自然に近い形でお米や野菜を育てている東城さん。
「身近で必要なものを手作りする暮らしが、山とか川とか海とか、壊れたら元に戻せないものを壊さないように守っている事に繋がっているのかもしれない」
そのようにおっしゃいます。
今回の味噌作りで使う麹は、東城さんが育てたお米に麹菌を混ぜ、薪ストーブの隣で毛布にくるんで数日間温め、作られた手づくりのものです。
東城さんと共に、この時期の手仕事である味噌作りを通して同じ時間を過ごし、
手作りで暮らしを整える事の喜びをぜひ体験して頂けたらと思います。
(文:クリスティーナ・ナンニーニ/米田 章代)
-
- 10:30
- 茅野駅にご集合。車で笹原集落へ移動。
- 11:00
- 到着後、笹原の郷土料理体験へ。
今なお受け継がれる郷土料理を、笹原の地元の方と一緒に料理を作ります。
作った料理は、地元の方と語らいながらお召し上がり頂けます。
- 14:00
- 笹原の街歩き。
いけす(池)のある庭園、蔵、野菜を保存するためのむろなどを見学。
その後、笹原地区の古民家にお邪魔し、地元の方から昔からの冬の生活についてのお話を聞きます。
- 15:30
- 笹原から奥蓼科の山奥の信玄の秘湯「渋・辰野館」へ移動。創業100年の秘湯、渋辰野館。薬湯でゆっくりとお寛ぎください。
※希望者は車にて薪ステーションへ移動し、薪わりなど薪ストーブのある生活を体験します。
-
- 9:00
- 「渋・辰野館」から槻木へ移動。
- 9:30
- 槻木の農家さんのお宅で味噌づくり体験。
自分で育てたお米から麹造りも行う農家さんと、こだわりの手作り味噌をつくります。農家さんの自家製味噌を使った料理も味わえます。
- 14:15
- 地域の名産が並ぶ「たてしな自由農園」でお買い物。
避暑地として名高い茅野市は、全国有数の高原野菜の産地。八ヶ岳の高原野菜や、信州特産のくだもの、魅力的な農産加工品をお買い求めになれます。
- 15:30
- 茅野駅にて解散。お疲れ様でした。
- ツアー名
- 「凍み」の知恵と料理に触れる
- 旅行代金
- 大人(中学生以上):40,600円(税込)/お一人様あたり/4~5名様1室でお申し込みの場合
こども(小学生・幼児):35,600円(税込)
※1人部屋追加代金:4,000円増し
※3名様一室でお申し込みの場合:追加料金1,000円増し/お一人様あたり
※2名様一室でお申し込みの場合:追加料金2,000円増し/お一人様あたり
- 募集人員
- 12名様(定員になり次第締め切ります)
- 最少催行人数
- 10名様
- 参加方法
- 申込書をダウンロードの上、メールまたはFAXにてお申し込みください。
- 申込期間
- 2018/2/16まで ※〆切後でも空き状況によりご参加いただけることがあります。ご希望の方はお問合せください。
- その他
- お申込は先着順になります。
モニターツアーのため、アンケート及び写真撮影にご協力ください。
申込・ツアー詳細・旅行条件等は、下記をダウンロードの上、ご確認ください。
旧き良き景観を残す農村で、御柱祭に連なる伝統の和太鼓を教わり、江戸時代から守ってきた野外舞台でともに太鼓を奏でることで、村とひとつになる。その他、自分で育てたお米から麹をつくっている農家さんと一緒に味噌づくりをしたり、農村の暮らしを体験します。宿泊は、囲炉裏が楽しめる築150年のこじんまりとした温泉旅館「豪族の館 大東園」で山の料理をご堪能ください。
茅野市に「槻木(つきのき)」と呼ばれる集落があります。
八ヶ岳を背景に、広々とした田んぼがゆるやかな傾斜に沿って階段状に広がっていく、のどかでうつくしい農村です。
主な産業は農業で、住民の多くは自分の田んぼをもち、秋の収穫のシーズンには、村が黄金色に染まります。
そんな槻木地区には、住民たちによって守られている魅力的な景観がいくつかあります。
縄文時代の竪穴式住居のような、この茅葺屋根の建物は「穴倉」。
かつてこの地区では、秋の取り入れが終わると斜面近くに竪穴を掘って茅で屋根をふいた「穴倉」と呼ばれる建物をつくり、近隣の農家さんたちが集まって、農業のできない長い冬の期間にわら細工をして生計を立てていたそうです。
こうした習慣は長いこと途絶えていましたが、10年ほど前に住民の方たちの尽力で、この穴倉を再建しました。一度火事で焼けてしまったものの、再び作り直し、今の立派な穴倉が誕生しました。
すっかり昔のたたずまいを取り戻した穴倉ですが、復活したのは外見だけではありません。
これは今年の「穴倉開き」のときの写真です。
どうです? 見事に「住民たちの集まる場」になっていますよね。
年末におこなう穴倉開きの後は春までの間、実際にわら細工の作業のための場所として使われます。
地元の人たちが集まり、年末にはしめ飾りをつくったり、わらじや、「ボロ草履」(使わなくなった着物の布を裂いてつくる草履)をつくったりします。
移住してきた人や若い人が行くと、「わら細工の達人」のおじいちゃんが優しく作り方を教えてくれます。
僕もこれから挑戦しようと思います!
最初の目標は、きれいに縄をなえる様になること。
……マイわらじまでの道のりは、まだ遠そうです。
そして、もうひとつ。
槻木に残る伝統的な建物の中で、ひときわ立派なのがこれ。
村の神社の目の前にドーンとそびえたつ、お芝居に使う野外舞台です。
つくられたのは今から150年以上も前の江戸時代だといいます。
実は、この集落では昔から「村芝居」が盛んで、
村の若者たちが総出で「役者」となって、華やかな舞台をつくっていたんです。
これは、槻木のおじいちゃんから借りた写真。
芝居に関わった村の若者たちの集合写真です。どうです、本格的でしょう?
現在80歳以上のおじいちゃんがまだ子供だったときのもので、
この時代のことを覚えている方も、年々少なくなっているそうです。
立派な野外舞台も一時は忘れ去られ、物置のようになっていたそうですが、
数年前、学校の授業で舞台を見学した子どもたちの、
「ここをきれいにして、使ってみたい」という言葉に地元の人々が一念発起。
舞台の床を張り替え、現代的な照明設備をとりつけ……さらにはなんと!
江戸時代につくられた「廻り舞台」の仕掛けまで、
地元の大工さんの熟練の技で、復元して見せたのでした。
「廻り舞台」とは何かと言うと……
ほら、この写真。
舞台の上の床を見ると、まーるく線が入っているのが分かりますか?
この線に沿って、舞台がぐるぐるとまわるんです。
役者さんがここに乗って、例えば場面を転換するときに使ったり、
見得を切るシーンで登場人物の全身をぐるりとかっこよく見せたり。
村芝居の見せ場の演出に使ったのだと思われます。
電気もない江戸時代に、一体どうやって回したのかというと……それは、来てのお楽しみ。
さて、ここで今回の旅の、もう一つの主役の方々をご紹介しましょう。
お揃いの衣装で力強い太鼓を奏でるこの方々は「八ヶ岳泉龍太鼓保存会」のみなさんです。
茅野市には、古事記の時代よりも古いと言われる由緒正しき「諏訪大社」があります。
6年に1度、神社境内に安置するための巨大な柱を山から引きずってくる、
勇壮な「御柱祭」で知られています。
八ヶ岳泉龍太鼓は、御柱祭のときに神様への奉納演奏をおこなう
「諏訪太鼓」の流れをくむ由緒正しき和太鼓の技法に、
会長の田中初幸さんが独創的なアレンジを加えた、威厳と軽快さをあわせもつ太鼓です。
こちらが初幸会長。八ヶ岳泉龍太鼓のほとんどの曲の作曲とアレンジを手がけ、
太鼓も笛もこなすマルチクリエイターでありアーティストです。
初幸さんは槻木の隣の集落の出身で、八ヶ岳泉龍太鼓保存会では槻木も含めた
周辺の大人やこどもたちを対象に、毎週、太鼓や笛の演奏を教えています。
僕もちょっとだけ参加しましたが、教え方が最高に楽しくてうまい!!
ほら、楽しそうでしょ?
最前列でお手本を見せてくれているのが、
泉龍太鼓のムードメーカーにして名パフォーマー、あつ子さんです。
(ちなみにその後ろ中央にいるのが僕です。へっぴり腰ですが……)
こんなにすばらしい場所である槻木地区に、たくさんの人に訪れてもらいたい。
そして、あの立派な野外舞台をぜひみんなに観て、味わってもらいたい。
そう思った僕が初幸会長に相談したところ、
会長はなんと、二つ返事でご協力を約束してくれました。
「少子化が進み、人口が減るこの土地に、たくさんの人が来るようになってほしい。
そして、ここに住む人たちにとっても、ここが誇れる場所だと感じてほしい」
そうして実現したのが今回の「ちの旅」です。
みなさんは槻木にやってきてまず、
地元のコミュニティセンターで「八ヶ岳泉龍太鼓保存会」の方に太鼓を教わります。
(あつ子さんはじめみなさんが優しくていねいに楽しく教えてくれるので、
「バチを握ったことがない」という人も大丈夫!)
その後は、茅葺き屋根の「穴倉」に移動し、「わら細工の達人」オサムさんに、わら細工の作品を見せてもらったり、穴倉での作業について話していただきます。
もしかしたら、縄のない方を実演してくれるかも?
昨年の秋に穴倉の中でわら細工の解説をしてくださったときのオサムさんです。
イイ表情ですねぇ。
そしてその後は、いよいよ野外舞台に移動です。
槻木でも物知りと評判の「ヒデじい」が、槻木の歴史や舞台のことを教えてくれます。
さきほどの「廻り舞台」の仕掛けの秘密も、このときに明らかになるはず!
そしてクライマックスは……!
江戸時代からの野外舞台の上で、
八ヶ岳泉龍太鼓のみなさんと共演して、
あなたが!
太鼓の音を村中に響かせるのです!
これは、昨年のリハーサルツアーのときの一枚です。どうです、この一体感!
あなたもここで、村の一員に、なってみませんか?
2日目は、『ちの旅「凍み」の知恵と料理に触れる』に登場する槻木(つきのき)の農家の東城さんのお宅を訪ね、味噌づくりを行います。東城さんについて、味噌づくりについて詳しくは『ちの旅「凍み」の知恵と料理に触れる』をご覧ください。
(文:矢部 俊彦)
-
- 10:30
- 茅野駅に集合。車で泉野コミュニティセンターへ移動。
- 11:00
- コミュニティセンターで、八ヶ岳泉龍太鼓保存会の方と太鼓の練習体験。
泉龍太鼓のお出迎え演奏の後、保存会の方に優しく教えていただきながら、太鼓の練習をします。(※体を動かすことができる服装をご用意ください)
- 12:30
- 槻木集落へ移動。茅葺き屋根の「穴倉」で、囲炉裏を囲んでランチ。
冬に「穴倉」の中で行われているわら細工(わらじやしめ縄作り)の話などを聞きながら、地元の食材を使ったお弁当をいただきます。
- 14:00
- 廻り舞台(江戸時代につくられた舞台)に移動。舞台の仕掛けを体験し、太鼓の演奏体験。
廻り舞台の仕掛けを回す体験の後、いよいよ泉龍太鼓保存会の方と一緒に舞台に上がり、村の人たちが見守る中、楽しく太鼓の演奏をします。
- 15:00
- 民家へ移動。槻木の昔からのお話しを伺います。
地元のガイドの方のご自宅にお邪魔し、季節の移り変わりとともに過ごす槻木での暮らしについてお話ししていただきます。
- 16:00
- 「豪族の館 大東園」へ移動・宿泊。
蓼科温泉横谷峡にある民芸作りの旅館で、山の料理と温泉を満喫いただけます。
-
- 9:00
- 「豪族の館 大東園」から槻木へ移動。
- 9:30
- 槻木の農家さんのお宅で味噌づくり体験。
自分で育てたお米から麹造りも行う農家さんと、こだわりの手作り味噌をつくります。農家さんの自家製味噌を使った料理も味わえます。
- 14:15
- 地域の名産が並ぶ「たてしな自由農園」でお買い物。
避暑地として名高い茅野市は、全国有数の高原野菜の産地。八ヶ岳の高原野菜や、信州特産のくだもの、魅力的な農産加工品をお買い求めになれます。
- 15:30
- 茅野駅にて解散。お疲れさまでした。
- ツアー名
- 村の野外舞台で晴れの舞台を!
- 旅行代金
- 大人(中学生以上):38,800(税込)円/お一人様あたり
こども(小学生):35,000円(税込)、幼児:32,300円(税込)
※基本、相部屋利用(男女別)でのご案内となります。
※個室をご希望の場合、ご相談ください
- 募集人員
- 15名様(定員になり次第締め切ります)
- 最少催行人数
- 8名様
- 参加方法
- 申込書をダウンロードの上、メールまたはFAXにてお申し込みください。
- 申込期間
- 2018/2/23まで ※〆切後でも空き状況によりご参加いただけることがあります。ご希望の方はお問合せください。
- その他
- お申込は先着順になります。
モニターツアーのため、アンケート及び写真撮影にご協力ください。
申込・ツアー詳細・旅行条件等は、下記をダウンロードの上、ご確認ください。
現在、ちのの様々な産業や人々に出会い、地域に秘めた観光資源を発掘中。 農村の暮らしや郷土料理、伝統文化、商工業など、ちのならではのひとときを地域の人々と共に作り、発信していきます。
Facebook「Chino, Nagano 長野県ちの」(外部サイト)をご覧ください。
- ≪車でお越しの場合≫
- ●東京―(中央自動車道)―諏訪I.C
- ●大阪―(名神高速道)―名古屋ー(中央自動車道)ー諏訪I.C
- ≪電車でお越しの場合≫
- ●東京―(中央本線・特急スーパーあずさ)―茅野駅 約120分
- ●大阪―(新幹線)―名古屋ー(中央本線・しなの)ー塩尻―(中央本線)ー茅野駅 約3時間30分