「里山ガーデンファーム」は福島県内の約50以上の生産者が集い、野菜や果物、加工品などを販売しています。代表を務めるのは二本松市できゅうり農家を営む齋藤 登さん。「今の福島をもっと知ってほしい」という思いから農業体験プログラム「スタディファーム」をスタートさせ、今や年間で約1500人もの人が訪れるまでになったのだそう。「このスタディファームを通じて、私たちとみなさんの距離を少しでも縮められればと思っています」と、齋藤さんは笑顔で話してくれました。また、里山ガーデンファームでは、農家の皆さんが旬の野菜や果物を詰め合わせて毎月お届けする「野菜セット定期便」も実施中!
スタディファームのスタートは、福島の農作物の現状を知ってもらうためのお勉強から。“お勉強”といっても決して堅苦しいものではなく、齋藤さんが原発事故以降の農家の取り組みや農作物の安全性を、ときには真剣に、ときにはユーモアを交えながらレクチャーしてくれるのです。「知らないことだらけでした」と話すのはこの日スタディファームを体験した白石美亜さん。こうした顔の見えるやりとりが何より大切なのだと齋藤さんは考えています。
約30分ほどのレクチャーを終えると、今度はきゅうりの剪定作業体験へ。「1つの苗から採れるきゅうりの数はおよそ100本。栄養を行き渡らせるために、余計な枝を切り落とすんです。それと同時に形の悪いきゅうりを摘果する作業も行います」。ちなみにきゅうり畑は2haもの広さがあるのですが、すべて露地で育てているのは県内でも珍しいそう。
もちろん収穫体験も行えます。きゅうりは数時間でいっきに大きくなってしまうため、タイミングの見極めが大切なのだそう。ローレンくんも齋藤さんのレクチャーを受けながら、1つ1つ丁寧にきゅうりを収穫していきます。すぐに取れてしまう“きゅうりのトゲ”に触れられるのも、農業体験の醍醐味のひとつ。取ったきゅうりは、その場で「いただきま~す!」。
訪れる前日までしばらく雨が続いていたので、畑や周辺の草も伸び放題。そこで急遽、草刈り体験もさせてもらえることに。草刈り機のハンドルを握るのは白石さん。「これをすべての畑にやるのは大変ですね」と、楽しみながらも農家の方の苦労が垣間見えたようです。また、畑はトンボやカエルなどの生き物の宝庫。ローレンくんは大好きな昆虫取りができて大喜び。こうしたメニューにないプログラムも、スタディファームの面白さかもしれません。
お昼は農園で働くスタッフの皆さんとともにBBQ。この日は畑で採れたばかりの野菜をはじめ、「きゅうりの三五八漬け」といった農園ならではのローカルメニューが振舞われました。カラダを動かした後の食事は格別の美味しさ。農業を体験したからこそ、スタッフの皆さんとの会話も弾みます。「私が目指すのは、ただ農業を体験するのではなく、人の交流ができるような場所。たくさんの人にとってここが第二の故郷になるとうれしいですね」。およそ半日で体験できるスタディファーム。福島に行かれた際は、一度体験してみてはいかがでしょうか。
※体験内容はシーズンによって様々で、BBQは別料金となります。
「収穫だけでなく、摘果や草刈りといった体験すべてが新鮮でした。また、震災後の農家のみなさんの苦労はもちろんですが、そこからどうやって復興されてきたか、風評被害の実態など、齋藤さんの生の声が聞けたのもスタディファームならではですね。今日は息子と二人での参加でしたが、次回は家族みんなで来たいです!」