-
豊かな自然が生み出すおいしいもの、歴史や伝統をつなぐかわいいもの。南北に細長い三重県は、海や山の豊かな自然にも恵まれているだけでなく、“お伊勢参り”をはじめとする歴史や伝統が、いまもなお息づいています。手しごとのぬくもりを感じ、つくり手の想いにふれる旅へ。
-
旅のはじめは、伊勢神宮がある伊勢市へ。古くからの習わしに従って、外宮(げくう)を参拝してから内宮(ないくう)を参拝します。森林の澄んだ空気は、神聖な雰囲気。
-
続いて、お伊勢参りのメインである内宮へ。宇治橋を渡りほどなく歩くと見えるのが「五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらしば)」。かつての禊の場で、ここで手を清めるのがならわしなのだとか。ひんやりとした清らかな水に心洗われるかのよう。
-
参拝後は、レトロな街並みが続くおはらい町通りにある「すし久」へ。明治2年の遷宮時に出た宇治橋の古材で建てられたという歴史ある建物が目を引きます。
-
名物・てこね寿司は、昔かつお漁が盛んだった頃に、漁師さんたちが釣ったかつおを船上で醤油漬けにして、酢飯と豪快に手で混ぜて食べたことからこの名が付いたのだとか。秘伝の醤油に漬け込んだ分厚いかつおに食が進みました。
-
おかげ横丁で見かけた「おかげ犬」。江戸時代、せめて一生に一度は行きたいと言われていた伊勢神宮。けれど、病気でお参りできない主人の代わりに伊勢に参ったと言われているのが、おかげ犬なのだそう。
-
次に向かったのは、海女のまち・鳥羽市相差町。神明神社の境内にある「石神さん」は、海女さんたちの間では、女性の願いをひとつ叶えてくれると言われています。まずは祈願紙に願い事を1つだけ記します。
-
石神さんの前にある願い箱に祈願紙をそっと入れてお祈りを。
-
お守りには、古くより海女さんが磯着に魔除けのおまじないとして記してきた「ドーマン・セ-マン」と言われる模様が。星は一筆書きできることから「海女が海に潜っても元の場所へ戻れる」、格子は「魔物の入る隙がない」という意味だそう。
-
道すがら見つけたのは「ドーマン・セーマン」が記された石の置物。この家には海女さんがいるという証なのだそう。
-
石神さんの参道にある「海女の家 五左屋」へ。「ドーマン・セーマン」が記されたクッキーや海女さんがモチーフのトートバッグなど、かわいらしい海女さんグッズが豊富に揃います。
-
2階には「海女サロン」というカフェがあり、海女さんや海をテーマにした本や絵本、写真集などが並びます。鳥羽サイダーと地元名物のところてんでほっと一息。ところてんにはきな粉をかけるのが、地元流。
-
海と山に囲まれ、自然豊かな南伊勢町。昔からみかんの生産地として知られているこの地で、農薬をできるだけ控えて、安心して食べられるようなみかん作りを続けているのが「土実樹」です。
-
店頭では、様々な種類の柑橘類とみかん製品がずらりと並びます。中でもマルチシート栽培で育てた糖度13度以上の五ヶ所みかんは、南伊勢ブランド品に認定されているのだとか。オリジナルのみかんソフトクリームは、さっぱりとした甘さ。
-
土実樹では自然に生える草の力を借りて豊かな土壌を作り作物を育てる、という『草生栽培』に取り組んでいます。素材を活かしたオリジナル商品も豊富です。
-
五ヶ所みかんのジュースやでこたんのようかんなど、南伊勢町で生産された商品の数々。テキパキと働く女性スタッフの笑顔に元気をもらいました。
-
少し足を伸ばして南海展望公園へ。海抜約150mのところから、水平線や入り組んだ五ヶ所湾に美しい曲線を描く相賀浦ニワ浜などの絶景を望むことができます。広大な海が清々しい!
-
この日宿泊したのは、鳥羽市の的矢湾に浮かぶわたかの島にある「はいふう」。まずは専用船に乗り、いざホテルへ。
-
ちょうど夕陽が美しい時刻で思わずうっとり。ちょっとした船旅気分を味わえました。
-
夕食は、伊勢志摩の新鮮な魚介類を使った和風フレンチのコース。伊勢海老をはじめとする新鮮なお造りの盛り合わせは、見た目も豪華!
-
今回のお部屋は、和の趣とアジアンテイストが融合した和室タイプ。このほか、洋室もあるそう。
-
全室オーシャンビューの温泉露天風呂が付いています。おだやかな海を眺めながら温泉につかり、旅の疲れを癒します。
-
お部屋から望むのは、爽快な朝の景色、ロマンティックな夕陽、満点の星……。自然が織りなすロケーションを思う存分満喫できました。
-
翌朝向かったのは、紀北町の「卵卵ふわぁ~む」。“良い卵は健康な鶏からのみ生み出される”という理念をもとに飼育方法やエサにこだわった卵の良さをお客様の顔を見て伝えたいと、たまご屋さんがスイーツを開発してこの店を開いたのだとか。
-
卵をイメージしたという明るい店内。ガラス越しにスイーツを手作りしている様子を見ることができます。
-
直営農場でとれた新鮮な卵をたっぷり使ったスイーツはひと口食べると卵のうまみが広がります。購入したスイーツは、無料で提供されるコーヒーと一緒にその場で食べることも可能。ついついお土産を買い過ぎてしまいました。
-
紀勢自動車道にある紀北パーキングエリア「始神(はじかみ)テラス」へ立寄り。地域の物産品をはじめ、紀北町ならではの味を楽しむことができます。
-
始神テラス内にある地元のアンテナショップ「キホクニヤ」で見つけたヒノキ製品。旅の思い出にヒノキの葉書きで手紙を書いてもいいですね。
-
次に訪れたのは、松阪市。創業220年の老舗旅館「旅館鯛屋」では、全国に名高い松阪牛を食べることができます。※要予約
-
自分へのご褒美ランチで、A5ランクの松阪牛を味わえる牛鍋御膳を注文。松阪牛は長時間火を入れても固くならないのが特徴なのだとか。やわらかいお肉のうまみを堪能しました。
-
続いて「松阪もめん手織りセンター」へ。ここでは伝統の技である松阪もめんのプチ織姫体験をすることができます。
-
松阪もめんは、“松阪縞(まつざかじま)”と呼ばれる繊細ですっきりとした縞模様が特徴。好きな縞模様を選び、いざ挑戦!トントンという機織り機の心地よい音を聞きながら、約1時間。小さな敷物が完成しました。
-
松阪もめんを使用したノートや袋、マグネットなど商品も豊富。どこかに粋を感じる和柄はモダンです。
-
旅の最後は、伊賀焼の里でもある伊賀市の郊外にある「ギャラリーやまほん」へ。
-
山と田園に囲まれた風景の中、大きな小屋がひっそりと佇んでいます。
-
伊賀焼の土鍋をはじめ、三重県内を中心に活躍する作家の作品が多く並ぶギャラリーでは、定期的に展覧会も開催されています。
-
オーナーがセレクトした暮らしの道具たちには、ひとつひとつものがたりが宿っています。スタッフの小塚さんに聞くと、丁寧に教えてくれます。
-
併設されているカフェ「カフェノカ」では、こだわりのうつわとともに手作りのスイーツを頂けます。コーヒーは注文を聞いてから1杯ずつ丁寧にドリップ。
-
洗練された雰囲気の中に、どこかぬくもりを感じ得る店内。砂糖入れや花瓶、うつわなど、作家さんの作品が使われています。
-
手作りのレアチーズケーキとコーヒーでほっと一息。おいしいもの、かわいいものを見つけた旅の思い出に浸りながら、ゆっくりとした時間を過ごすことができました。