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古代から豊富な食材を京の都に送り「御食国(みけつくに)」と呼ばれた若狭の地。日本海と山々に囲まれた豊かな自然環境は、美しい景観だけでなく、越前かにや鯖料理をはじめとする海の幸や野菜、米、葛といった山の幸を生み出しています。日本遺産に認定された歴史的な町並みと自然の恵みを堪能するココロ潤う旅へ。
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敦賀港魚市場の向かいでひときわ賑わいを見せているのが「相木魚問屋」。
戦後間もない頃、越前海岸沖で獲れた雄のズワイガニを「越前かに」と名付け、築地をはじめとする全国の市場に出したのが会長の壁下誠さんです。
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敦賀港をはじめ、越前港など若狭湾近海で穫れた新鮮な魚が並びます。問屋という名前がついていますが、「一匹でも全部でも売る」のがモットー。そのため地元の人も毎日買い物に訪れます。
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威勢のいい声が響き渡り活気が溢れる店内。軒先には干された魚がきれいに並んでいます。手際よく魚をさばいている人もいました。
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戦後間もない頃は、築地まで汽車で越前かにを運んでいたそう。その時に使われていたのがこちらの木箱です。
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「豊かな漁場と厳しい寒さがはぐくんだ越前かには、はさみが太く、身がつまっていておいしい」のだそう。漁解禁後は、目の前の加工場でかにの釜揚げを見学することができます。
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こちらは名物の「へしこ」。さばのぬか漬けで各社によって味が少しずつ違うのだとか。
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ごはんにのり、梅、へしこを乗せてお湯をかけた「へしこ茶漬け」をいただきます。お茶漬けにすることでへしこがまろやかになり、さっぱりしておいしい!
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続いて訪れたのは「若狭工房」。箸の研磨出しや和紙の色紙漉き、めのうみがきなど、若狭の伝統工芸を体験することができます。今回は、箸の研磨出しに挑戦!
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若狭塗りはキラキラと光り、豪華な雰囲気が漂うことから“宝石塗り”とも呼ばれていたそう。アワビ貝や卵の殻が埋め込まれている若狭塗のお箸を何度もやすりで研ぎだして、ようやく完成しました。
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かつて若狭の海で獲れた鯖を京都に多く運んだことから名付けられた「鯖街道」。その起点が小浜市の「いづみ町商店街」です。
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いまでも魚問屋や魚屋が軒を連ねます。名物の浜焼き鯖の香ばしい香りに誘われて訪れたのは、200年以上代々続いているという「朽木屋」。手作りのサバ人形がかわいい!
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浜焼き鯖は、1本まるまるの鯖をじっくり20分〜30分かけて焼くのがポイント。余分な脂が落ち、外側はパリっと、中はジューシー。地元の人もよく買いにくるそうで、お昼を過ぎると売り切れてしまうことも。
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商店街のすぐ近くにある「かねまつ」では、若狭湾で養殖したマサバのお刺身の提供をこの秋スタート!新鮮なマサバのお刺身を味わうことができるのは、旅ならではの醍醐味。先ほど作った若狭塗のお箸で頂きました。
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甘い物を食べに「井上耕養庵」へ。地元の熊川葛を使った葛ようかんは小豆、黒ごま、白ごまの3種類。甘さ控えめの葛ようかんは見た目も美しい。
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併設された喫茶スペースで購入した和菓子を食べることができます。目の前に見えるのは茶室「耕養庵」。ほっと一息つくことができました。
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宿泊したのは「ホテルうみんぴあ」。若狭のモッツァレラチーズや高浜産華おとめ、おおい町産椎茸、福井ポークなど地元産の食材をふんだんに使った料理の数々を堪能。
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お部屋は10タイプあり、全室オーシャンビュー。目の前には若狭湾が広がり、気持ちの良い朝を迎えることができます。
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早起きをしてホテルの周りをお散歩。緑がまぶしい芝生広場の先にはキラキラと輝く海、そしてうっすらと半島の山々を見ることができました。
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少し足を伸ばして「若狭和田ビーチ」へ。潮風を感じながら砂浜をのんびり歩いていると、心身ともにリラックスできます。
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白い砂浜と透明な海が広がる若狭和田ビーチは、世界的にすぐれたビーチに与えられる「ブルーフラッグ」をアジアで初めて取得したそう。
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カメラスタンドがあり、若狭富士と呼ばれる青葉山と美しいビーチを背景に記念撮影を楽しみました。日本夕陽100選にも選ばれているという夕陽は、次回のお楽しみに。
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「道の駅うみんぴあ大飯」へ。産地直送の野菜や魚介類の販売をはじめ、海を眺められる開放的な空間で、スイーツや食事を味わうことができます。
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季節限定の栗のジェラートは福井県産の新鮮な牛乳をベースに栗の実がたっぷり。さっぱりとした甘さでペロリといただけました。
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ランチは田園風景が広がる里山に佇む「ここいろ」で。土釜で炊いたごはんや手作り味噌を使ったお味噌汁、スタッフが家庭で作った野菜など、ほっこりした食事が体にしみいります。
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店内に飾られたパッチワークのタペストリーやテーブルクロス、コースターも手作り。あたたかみのある空間に包まれ、思わず時を忘れてのんびり。ギャラリーもあり、手作りの作品を購入することができます。
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日本遺産に認定された「熊川宿」へ。昔ながらの町並みを残す宿場町で、町中を通る若狭街道は京の都へ鯖などの魚を運んだことから鯖街道と呼ばれています。
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街道に沿って流れているのは前川と呼ばれる水路。水の力でコロコロと回っているのは芋洗い。日常生活に活用されているのだとか。
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熊川宿は重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。奉行所や番所、お蔵屋敷の跡が残り、歴史を感じることができます。
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町屋の間に土蔵が建っていたり、町屋も「平入(ひらいり)」と「妻入(つまいり)」と呼ばれる建物が混在したり。様々な形式の建物が建ち並びます。軒先には苔玉が飾られていました。
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「がったり」と呼ばれる、夕涼みや休憩に使う縁台でひと休み。普段は折り畳まれています。昔はここで旅人が休憩したのだとか。
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街道沿いにある手作りこんにゃくのお店で見つけたのは、かわいいこんにゃくのマスコット。店頭では、こんにゃくのから揚げが売られていて、食べ歩きにおすすめ。
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旅の最後は環境庁の名水百選に選定された瓜割の滝へ。1年を通して水温が変わらず、夏でも水につけておいた瓜が割れるほど冷たいことから、その名前がつけられました。
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ひんやりとした空気と滝の音が心地よく、思わず深呼吸。ひと口飲んでみると、すっと喉が潤います。清らかな水にココロ洗われました。
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厳しい日本海のイメージとは違い、湾に囲まれているせいか海は穏やか。潮風を感じながら散策していると、時間がのんびりと流れていくよう。
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海と山々に囲まれ、豊かな自然環境が生み出した美食を堪能した今回の旅。また帰ってきたい、と思う場所でした。