赤い瓦と、古い船板の壁
北前船のふるさとの町へ |
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東京から約2時間、訪れたのは加賀橋立の古い町並み。江戸から明治にかけて活躍した北前船の船主たちのふるさとです。北前船とは、現在の大阪〜北海道間を航海し、各港で積荷の売買をした回船を指します。橋立地区の赤い瓦屋根は、島根県の石州瓦の技術が北前船によって伝播したものとされ、彼らが富だけでなく文化をも築いた証といえます。
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人々が誇る本物の味わい
加賀橋立のズワイガニ |
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秋冬の橋立名物と言えば、何といってもズワイガニ。昼食に訪れた「料亭 新保」では、11/6のカニ漁解禁以降はカニ料理のみの提供となるのだそう。柔らかで深い甘味があり、身がつまった良質な橋立のズワイガニは、器具を使わずに手で“ズルッ”と身がむけるのが特長。橋立産を表す青いタグは、地元の人々の誇りでもあります。
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“北前魂”を受け継ぐ
橋立漁港の男たちの姿 |
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夕方の6時半から開始される、橋立漁港の競りを見学。次々と魚の大きさが読み上げられる中、競り人が気に入った商品に入札の番号札を投げ入れて行きます。「周りの港と時期の相場を頭に叩き込むのが競りの心得」と威勢よく語る競り人の姿に、北海の荒波の世界を生きた古の船乗りたちに通じる、“北前魂”を見た気がしました。
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船主たちが心癒やした
1,300年続く山中の湯 |
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翌朝、宿泊した「山中温泉 白鷺湯たわらや」自慢の露天風呂で、朝の光と渓谷の緑を眺めながらゆっくりと温泉浴。約1,300年の歴史を持つ山中温泉は、クセのないやわらかな泉質で、命懸けの航海を終えた北前船の船主たちが心と身体を癒やした場所です。彼らは、湯船に浸かりながら何を語り、何を想ったのでしょうか。
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温泉情緒と哀愁に満ちた
古の恋のうた、山中節 |
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加賀を代表する民謡“山中節”を鑑賞出来る「山中座」へ。昔、浴場の外で浴衣片手に入浴客を待っていた“ゆかたべー”と呼ばれる娘と、温泉に浸かる北前船の船主との間に生まれた歌が山中節の始まりだそう。その歌詞は船主との別れを惜しむもの、航海中に会えない寂しさを嘆くものが多く、古の“恋のうた”として切なく胸に響きます。
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現代に蘇った古湯で
心潤い満ちてゆく時 |
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山中温泉を後に、訪れたのは山代温泉の「古総湯(こそうゆ)」。明治時代の内装を復元した浴室の床には総九谷焼のタイルが敷かれ、湯船を彩るのはハイカラなステンドグラスの光。シャワーがなく石鹸等の利用を禁止する入浴方法も昔ながらで、そこには日本の温泉地の原風景がありました。北前船のふるさと・加賀には、守りたい歴史と文化が息づいていました。
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