北海道・ニセコで大パノラマの羊蹄山と過ごす極上の休日「ニセコ羊蹄の宿 楽 水山」
「ニセコ羊蹄の宿 楽 水山」は、北海道・ニセコエリアで唯一となる、オールスイートの温泉旅館。約7,000坪の敷地にわずか18部屋というぜいたくな造りで、全室、自家源泉かけ流しの温泉風呂付き。好きな時間に温泉を楽しめると同時に、浴室をはじめ館内の至るところから、蝦夷富士(えぞふじ)と呼ばれる羊蹄山(ようていざん)を眺められるのも大きな魅力です。羊蹄山の麓でのびのびとリフレッシュ。心が満たされる特別な湯旅をしてみませんか。
ニセコで唯一の日本旅館、ラグジュアリー温泉宿
大地と近海の食材に恵まれたニセコは、四季を通して魅力があります。羊蹄山の麓には、バラエティ豊かな泉質の温泉が湧き、湯めぐりを楽しむ人でにぎわいます。そんなニセコの倶知安(くっちゃん)町に佇むのが「ニセコ羊蹄の宿 楽 水山」。
ホテルが中心のニセコエリアでは珍しい、和のおもてなしを味わえる旅館タイプのラグジュアリー温泉宿です。アクセスは、新千歳空港から車で約2時間30分。電車利用の場合は約3時間、事前予約をすればJR函館本線・倶知安駅から無料送迎もあります。
宿がオープンしたのは2020年12月のこと。「地場の食材を愉しむ食悦の湯宿」との思いで、この地に開業しました。
館内に一歩足を踏み入れると、さあ特別な休日の始まり。落ち着いた和の佇まいと、やわらかなお香の香りに気分が和らぎます。
扉が開くと開放感たっぷりのロビーラウンジがお出迎え。建材やインテリアに北海道産の木材が使われており、館内は木の温もりに包まれています。まるで大自然の中で癒やされるようなリラックス感を味わえます。
ラウンジにはグランドピアノが存在感を放ちます。100年以上前にニューヨークで造られた、スタインウェイのヴィンテージピアノ。宿のイベントではオペラや演奏会も開催されました。
羊蹄山がよく見える窓際の特等席で、チェックイン。ちょうど良いタイミングで雲たちが解散して、青空とともに羊蹄山がチラリ。それから、みるみる青空の面積が広がり、その姿を見せてくれました。
視界いっぱいに広がる絶景を前に、思わず感嘆の声をあげてしまうほど。グリーンの芝が広がる美しい中庭も、ピクチャーフレームで絵画のようです。
しばらく外の景色を眺めていると、点てたばかりのお抹茶とお茶菓子が運ばれてきました。目に留まったのは、お盆に置かれたかわいらしい和三盆。ちょうど訪れた日は、ゴルフシーズン真っただ中。ゲストに季節感を感じてもらうため、その季節に合ったモチーフの和三盆を用意するそうです。
こだわりが詰まったラウンジのサービス
ラウンジのサービスは、時間帯によって内容が変わります。北海道蘭越町産のゆめぴりかを使った「ポン菓子」や、グループホテルのオーセントホテル小樽の職人が一つひとつていねいに焼き上げたオリジナルクッキー、さらにドライフルーツを羊蹄山の湧水で戻したデトックスウオーターや、ニセコ産「雪下にんじん」を使ったジュースなどは、チェックインからチェックアウトまで提供されます。
羊蹄山と温泉を独占できる、和室付きの客室「水の間」
全18室の客室は、オールスイート。75平米の洋室「山の間」と、95平米の和洋室「水の間」2タイプあり、どの部屋に泊まっても、羊蹄山ビュー&温泉風呂付きというぜいたくな造りになっています。
今回、宿泊したのは「水の間(118菖蒲)」。戸建ての客室からの眺望を遮ることがないようになだらかな傾斜に建ち、羊蹄山の雄姿を独り占めできます。
テラスに出て、おいしい森の空気を味わいながら鳥のさえずりに耳を傾ければ、五感がフルに癒やされます。
「水の間」は、足を伸ばしてくつろげる和室付き。掛け軸の内容はお部屋ごとに異なりますが、こちらのお部屋(118菖蒲)には、中国の詩人・李白の漢詩の掛け軸が飾られています。
さらに心をくすぐられたのが、お部屋に用意されたウエルカムスイーツです。木箱の中には、札幌のショコラティエマサールがつくるチョコレートが2種。そのうち1種類は、宿の料理長とコラボしたオリジナルです。
中に入っているのは、高級食材で知られる地元名産のゆり根。ほくほくとした食感とほどよい甘さのチョコレートがベストマッチ。ここに泊まらないと味わえない、プレミアムなおいしさです。
うれしいことにソフトドリンクはすべて無料。(ワインを除く)冷蔵庫には、北海道で100年以上愛される炭酸飲料のリボンナポリン、サッポロクラシック、サッポロエビスなど、ご当地感あふれるメニューがずらり。
ほかにも、ホットドリンクとしてルピシアの紅茶や京都・一保堂茶舗の煎茶、小樽の自家焙煎コーヒーショップ「可否茶館」オリジナルブレンドコーヒーも用意されています。
気になる浴室は、目の前には大パノラマの羊蹄山が広がり、窓を開ければ、自然の音の心地よさも感じられます。広々とした石造りの浴槽から、自家源泉の湯があふれ続けているのも魅力です。
泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。とろりとした源泉は美肌効果がある美人の湯です。炭酸成分がたっぷり入っていますが、泉温が高く湯に溶け込んでいるため気泡ができません。入ればすぐに肌がつるり。血行がよくなり身体に染み入るような湯力を感じられます。
ちなみに鉄の香りがふっと鼻をつくのは温泉に鉄分が含まれているから。よく温まり、鉄分も同時にチャージできる、女性にうれしい効能の湯です。
モダンなバスルームは、ダブルシンク仕様。2人同時に身支度を整えられ快適です。
気になるアメニティは、メイド・イン北海道のものを、それぞれ男女別で用意しています。女性用(写真右)は、北海道の大地が育んだシラカバの樹液から作られた「SIRACA」。男性用(写真左)には、北海道のオーガニックハーブを使用した100%天然由来成分の「CBSイナース」が用意されています。
また、ヘアケアにやさしいダイソンのドライヤーも完備。マグネット式で簡単に取り替えられるアタッチメントがたくさんついていて、時間が劇的時短になります。
続いては、シモンズ社製のベッドが2つ並ぶ寝室へ。厚みのある羽毛枕は軽くてふっくら。高さが違う2種類の枕を用意していて、最高の寝心地をかなえてくれます。
館内着の羽織には、北前船のゆかりの地、会津刺し子織りのものを。睡眠時には綿100%のやわらかなガーゼでできたパジャマ、温泉浴のあとにはバスローブが用意されているのもうれしいポイントです。
景色やお風呂の種類が異なる、ほかのお部屋もチェック
大きなヒバの湯舟が魅力「山の間(115橘)」
75平米の洋室「山の間(115橘 )」のヒバ風呂は、温泉効果にプラスして、大きな湯船から漂う木の良い香りに癒やされます。
特に冬に人気の「水の間(113桜)」
また「水の間」の中で、特に冬に人気だというお部屋が「113桜」。このお部屋は、先ほどご紹介した「118菖蒲」より、高い位置に部屋があり、白樺に囲まれた北海道らしい絶景を楽しむことができます。
また和室の窓を通して見る雪原の風景が、まるで1枚の絵のようにも見えるのだとか。
「113桜」の浴槽は、職人手作りの陶器製。湯に身体を沈めると、すぽっと包まれているような安心感があります。
食前酒にぴったりなラウンジのワインフリーサービス
夕食前に特別なお楽しみが待っているのも、この宿の魅力。ラウンジでは、16:30から19:30の間、赤ワイン・白ワイン・スパークリングワインがフリーになるうれしいサービスが行われます。
夕食は地場の食材を活かした創作フレンチを
ワインをいただき、恍惚の気持ちよさを味わったところで、いよいよ夕食のスタート。ラウンジの奥にある、お食事処「ゆきあい亭」へ向かいます。全席、中庭に面していて、どの席に座っても、お天気が良ければ目の前に羊蹄山が現れる、絶景を堪能できるレストランです。
「ニセコ羊蹄の宿 楽 水山」の料理を総括しているのは、料理の道に入って20年以上の経験を持つ泊谷料理長。自ら目利きしたり、ときには生産者さんのところへ足を運んだり。つくり手の思いや食材の背景にも目を向け、最高のコンディションでひと皿へと仕上げます。
お料理の特徴は、フランス料理の枠にとらわれず、食材を見て「こうしたらおいしくなるはず!」という直感をもとに作り上げるスタイル。メニューは食材に応じて作られるため予めのおしながきがなく、リピーターの期待も高まります。
また料理で使用する魚介類は、近海の鮮度の良いものだけを使用。テラスの一角で育てたフレッシュなハーブや野菜が料理に使われることもあります。「せっかく旅行に来たら、北海道のものをいろいろ食べたいじゃないですか」と楽しそうに微笑む料理長。どんな料理が出てくるのか楽しみです。
席に座るとまず、とっておきのドリンクでおもてなし。北海道の酒造がつくる甘酒とりんごを炭酸で割った、ウエルカムドリンクが提供されます。飲んでみるとすっきりさわやかな味わい。この1杯で前菜への期待が高まります。
また、お料理一品一品に最も合うワインを組み合わせてくれる、ペアリングが人気(おひとり11,000円)。この日、最初の1杯として出されたのは、イギリス王室御用達シャンパンを手掛ける、1812年創業の老舗「ローラン・ペリエ」のシャンパン。飲んでみると、華やかで心地よい余韻が口の中に広がります。
最初のお料理は、ニセコ産のグリーンアスパラガスのフランに、浜茹でした毛ガニを重ねた一品。中には、旨味をぎゅっと閉じ込めた毛ガニがたっぷりと入っています。
2品目は「水ダコ ニセコ五四〇」。ニセコ五四〇とは、倶知安のブランドじゃがいものこと。なんと540日間も寝かせた食材です。食べてみると驚くほど甘く、ねっとりした食感。まるでスイートポテトのような濃厚な甘みがあります。ルピシアの紅茶でじっくり煮た水ダコは驚くほどやわらか。ジャガイモとのバランスが秀逸です。
真っ白なスープの正体は、なんとにんにく。生クリームやブイヨンと一緒に2~3時間かけゆっくり炒めて蒸して……を繰り返し作られているため、まろやかで深みのある味わいに。このスープを目当てにリピートするゲストもいるそうです。
このスープと一緒に食べたいのは、外側カリッと中しっとりの自家製パン。美瑛産ジャージー牛の無塩バター、北海道産の有塩バター、北海道噴火湾の海水を焚いて作られた塩を、自分好みでつけられる、新鮮な体験も楽しみの一つです。
続いてこちらは、苫小牧の北寄貝とニセコのグリーンアスパラガスを使った一品。ソースにも、北寄貝の旨味がぎゅっと閉じ込められており、磯の香りが際立ちます。ペアリングの白ワイン「平川ワイナリー セレーヌ 2022」と響き合う、ぜいたくな味わいです。
記憶に残るお料理は、まだまだ続きます。こちらは、雲丹とフレンチトーストを組合わせた、新たなおいしさに気付く一品。フレンチトーストのふわっと&もっちりした食感と、クリーミーな雲丹との食感のコントラストが映えます。
朝採りのスナップエンドウには、削りたてのグラナ・パダーノをかけて。チーズの塩気が、味の輪郭をくっきりと浮かび上がらせてくれます。
いよいよ、メインの肉料理。この日は、美瑛の牧場で育った羊のロインのみを2時間かけじっくりと火入れした「美瑛産サフォーク」です。食べてみると、その味わいは実に繊細。羊特有の臭みが一切なく、しっとり、ジューシー。噛めば噛むほど、じわじわと肉の旨味がふくらんでいきます。「ラム肉が少し苦手……」という人にこそ食べてほしい、究極の肉料理。
そして、肉料理に合わせたワインは、フランス・ブルゴーニュ地方の「2014年 シャトー ポマール」。華やかな香りと熟成感を帯びたフレーバーが特徴。ワインと一緒に味わうことで、サフォークのおいしさが一段とアップします。
お次は、倶知安名物の「豪雪うどん」を使った一品。麺は小麦粉ではなく、じゃがいもから作られたデンプンでできています。シコシコ、ぷるぷるとした独特の食感は、一度食べたらクセになるおいしさ。
デザートには、平飼い有精卵のプリンに、グリーンアスパラガスのアイスを合わせて。特に驚いたのは、アイスクリーム。グリーンアスパラガスの存在感が抜群です。こんなに素材の味が濃厚なアイスクリームは、ほかでは決して味わえません。
「ニセコ羊蹄の宿 楽 水山」の建設時に伐採した木を活用して作られた箸。食事の最後にケースをいただけるので旅の記念に持ち帰れます。
ほかにも、目の前で料理されるカウンター席の日本料理「入舟」や鉄板焼き「海王」もあり、連泊時に選べるのがうれしいですね。
夜のお庭と香り高いオリジナルのハイボールに酔う
美食に酔いしれた後は、さらなる夜のお楽しみがラウンジに待っています。昼間、木漏れ日が心地よかったラウンジは、夜になると照明をぐっと落とし、落ち着いた大人の癒やしスポットに。ライトアップされた幻想的な庭を眺めながら、ゆったりと過ごせます。
中央に配された囲炉裏は、冬になると火がくべられます。囲炉裏をかこんだリラックスタイムは最高。パチパチと燃える火や、囲炉裏から立ち込める懐かしい香りに癒やされます。
ラウンジの奥には、旅館らしい和風情のバーがあります。
一番人気は「楽 水山ハイボール」。余市に蒸留所を構えるニッカウヰスキーの竹鶴とほうじ茶に黒蜜を入れた飲みやすいお酒で、女性にもおすすめの1杯です。ほかにも国産ジンで作る和のマティーニも人気。
ノンアルコールの方には、華やさが宿るバタフライピーのカクテルもあり、こだわりのカクテルが旅の夜をさらに輝かせてくれます。
歴史とアートが薫る渡り廊下
バーでお酒を楽しんだあとは、お部屋へ帰る渡り廊下のアートを鑑賞。北前船の航路をたどるように作品が並び美術館のようです。
ダイレクトに届く自然を味わう
画像提供:ニセコ羊蹄の宿 楽 水山
星がきれいな夜はうっとり星空に見入り、夜空に浮かぶ粒の大きな星を数えたり、中庭のホタルの光、カエルの鳴き声に耳を澄ませたり。お天気がよければ、夕暮れに染まる美しい羊蹄山や、朝陽を受けて輝く羊蹄山のパワーも享受できます。
毎日忙しくしていると、スルーしてしまう自然の営みを、五感でに楽しめるのもこの宿の魅力。地球は、こんなにもたくさんの生命力であふれているんだ……!と驚かされます。
ていねいに作られた滋味あふれる朝ご飯
ぐっすり眠った翌朝。朝食をいただきに「ゆきあい亭」へ向かいます。席に着くと、まずは雪下にんじんをスロージューサーでていねいにしぼった、にんじん100%ジュースで体を目覚めさせます。
次に、支笏湖で育った旬のヒメマスの塩焼き、野付産の天然ホタテのお刺身、北海道産の黒豆納豆など、北海道の幸いっぱいの和定食が到着。ご飯は「ななつぼし」を土鍋で炊いた、つやつやほかほかの釜炊きご飯。素材の味を活かしたお料理はどれもご飯に合い、お代わりをしてしまうほど。
毎日のルーティンのために身体を動かすことも。館内のフィットネスマシンを自由に利用できます。
チェックアウトは11時。まだまだ時間がたっぷりあるので、お部屋に用意されたミルを使って挽きたてのコーヒーを楽しむこともできます。
淹れたてのコーヒーを片手に、テラスへ。時間によって表情を変える景色は、何度眺めても飽きることがありません。ニセコの自然に溶けるように身を置き、流れるように時間を楽しむ。この宿なら、心が大きく動かされ、一生忘れられない旅ができるはず。
ニセコ羊蹄の宿 楽 水山
- 住所
- 北海道虻田郡倶知安町字樺山119-1
- アクセス
- JR倶知安駅より車で約15分
- 駐車場
- あり(17台予約不要・無料)
- チェックイン
- 14:00
- チェックアウト
- 11:00
- 総部屋数
- 18室
撮影/大林博之 取材・文/安藤美紀