日本における入浴の歴史や風呂の様式、温泉の役割などを見つめ直し、現代に合った癒しの空間を創りたい。そうした思いを巡らせるなかで、日本の風呂のルーツのひとつであるサウナに着目し、御船山楽園ホテルの大浴場「らかんの湯」を全面リニューアルいたしました。
日本では古代から蒸気浴が行われ、奈良時代に僧の行基が造ったという「塚原のから風呂」は現存する最古のサウナのひとつで、東大寺に設けた「温室」は都市部での風呂=サウナの始まりといわれています。その後、江戸時代に温湯浴が一般的になるまで入浴文化の中心を担い、昭和40年代には海外のサウナが普及、それまでとは異なる新たな水風呂も併設されるようになりました。
いまは観光地としての色が強い温泉地ですが、もともとは温泉に入って病気を治療する「湯治」を行う場所で、江戸時代には1〜3週間ほどかけて行ったほうがよいと認識されていたようです。しかし、現代においてそうした長期滞在は簡単なことではありません。
そこで、日本人にさまざまなスタイルで長く親しまれてきたサウナを進化。温泉による疲労回復やリフレッシュの効果とサウナの“ととのう”感覚を掛け合わせることで、心と体の変化を短期間のご利用でもわかりやすく実感していただける、現代の湯治場を目指すことにしたのです。
また、風呂上がりの客人に茶を振る舞い、闘茶などを楽しむ室町時代の風習を取り入れた「チームラボ 廃墟と遺跡:淋汗(りんかん)茶の湯」も実施しています。
新たな入浴文化の探求は、これからも続きます。
●泉質:弱アルカリ単純泉(美肌をつくる泉質といわれます)
●効能:疲労回復、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、関節ののこわばり、うちみ、くじき、健康増進
※大浴場(らかんの湯)は男女入れ替え制(午後と午前)となります。(15:00〜24:00と6:00〜10:30)
湯上りの水分補給、また待ち合い所として「お休み処」をご利用下さい。