「信条」と訳される「クレド」はスタッフ全員が携帯している
伝説となったリッツ・カールトンのサービス
お客様一人ひとりの言葉にされない願望やニーズを先読みしお答えすること。
クレドに書かれるこの一文をリッツ・カールトンはどこまでも真摯に追及している。鋭い観察力でゲストの好みや関心事、心の機微を感じとり、一人ひとりに寄り添うパーソナル・サービスを提供しているのだ。そのなかには、伝説的なレベルで語り草になっているものも少なくない。
たとえば、お部屋へと案内するわずかな雑談のなかで、お客様の好物がオレンジと何気ない会話の中で知ると、次に宿泊した際にはさりげなく客室にオレンジが置かれていた。
低刺激性の枕を所望すれば、その情報は即座に共有され、世界中どの国のリッツ・カールトンを利用しても当たり前のように低刺激性の枕が用意されているようになった。
さらに、「お客様がホテルに忘れた老眼鏡を、それに気がついたハウスキーパーがその日のうちに大阪から東京まで届けた」、「ゲストがプールに落としたコンタクトレンズを見つけだした」など、利用者から語られる感動的なエピソードは枚挙にいとまがない。
ハウスキーパーが業務を離れ忘れ物を届けたり、到底見つかりそうにないコンタクトレンズを探すことは、本来ホテルマンとして提供すべきサービスの範疇を超えている。だが、ホテル側がそれを許容し、従業員一人ひとりに顧客の利益を優先する権限を与えているからこそ、サービスを超えたおもてなしが可能になるのだ。