「三鷹の森ジブリ美術館」では、2024年11月23日(土)から12月26日(木)まで、屋内外にクリスマスの装飾がほどこされ、クリスマスムード一色に。今年の期間中は、ジブリファンを魅了する名作短編映画『パン種とタマゴ姫』の登場人物たちも、いたるところに出現。ユニークで、かわいらしくて、ほっこり癒やされます。きらめくジブリ美術館で忘れられない体験を!
看板もメルヘンなクリスマス仕様に
「三鷹の森ジブリ美術館」の最寄り駅は、三鷹駅もしくは吉祥寺駅。それぞれの駅からバスを利用することもできますが、ぽかぽか陽気の日には、駅からゆっくりお散歩気分で向かうのもおすすめ。どちらの駅からも徒歩約15分で美術館に到着します。
お散歩のゴール地点にある看板も、クリスマスシーズンは華やかに変身。この時期しか見られない特別なデコレーションにときめかずにはいられません。
知っておきたい『パン種とタマゴ姫』の登場人物
美術館はジブリマニアでなくとも楽しめますが、クリスマスシーズンは、とある作品を知っておくだけで、楽しさが何倍にもアップします。それが名作短編映画『パン種とタマゴ姫』。
世界でも、ここ「三鷹の森ジブリ美術館」と「ジブリパーク」でしか見られないレアな作品です。美術館の映像展示室「土星座」で上映されるだけでなく、館内のいたるところで登場人物たちに出会えます。
そんな『パン種とタマゴ姫』の登場人物は、「パン種くん」「タマゴ姫」「バーバヤーガ」の3人。事前に知っておくと、美術館で出会うキャラクターの名前が分かるので楽しい!初めて聞いた!という人は、知っておいて損はありません。
ちなみに、パン種くんはクリスマス時期以外も、展示のあちらこちらで案内人を務めています。
屋外の見どころはここをチェック
クリスマスシーズンの美術館は、細部まで見どころが満載です。大きなトトロが待つ「ニセの受付」も、クリスマス仕様になっています。トトロの前には、モミの木枝や松ぼっくりが置いてあり、よ~く見ると……
謎のキャラクターが描かれたボールオーナメントを発見!これが『パン種とタマゴ姫』に登場する、老婆の「バーバヤーガ」です。オーナメントの絵柄はストーリーに沿っていて、ここから物語が始まります。今の時期は、こんな風に来場者を「あっ!」と驚かせる、楽しい仕掛けがたくさん。
ニセの受付を進むと、カラフルな建物が見えてきます。上を見上げてみると、4つの窓に付いた緑色の日よけからニョキッと飛び出る不思議な雨どいが……。実は、これもただの雨どいにあらず。
この雨どいは、『パン種とタマゴ姫』のパン種くんをイメージして作られたそう。さらにこの中に1カ所だけ、金色のタマゴ姫がパン種くんの上にちょこんと座る姿が見られます。小さいサイズなので、かなり難易度が高いといえますが、あきらめずに見つけたときの達成感はひとしおです。
こちらが、本物の入り口。両サイドにはツリーが飾られています。華やかな昼間はもちろん、日が暮れると、ライトアップ効果でまた違った表情に。
冬は日が落ちるのが早いので、暗くなると館内のステンドグラスの光がより鮮やかに見えます。こちらは、『魔女の宅急便』のキキと老犬ジェファーソンを描いたステンドグラス。眺めているだけで、映画のシーンが頭に浮かんでくるようです。
ツリーの飾り付けに麦の穂が使われているのも、こちらの美術館ならでは。『パン種とタマゴ姫』に出てくる、実り豊かな麦畑を連想させます。
クリスマスムード満点の館内へ
中に入ると、みんな大好きトトロがお出迎え。ジブリの世界観をぎゅっと詰め込んだ、天井のフレスコ画が目を引きます。
トトロの前にはリースが飾られ、足を踏み入れた瞬間からクリスマスモードに。
階段を下りれば、そこは光が差し込む地下1階の中央ホール。この時期だけ、ツリーや大きなクリスマスの定番・くるみ割り人形が出迎えてくれます。
ここに来たら、ツリーのオーナメントにも注目してください。『パン種とタマゴ姫』のキャラクターをモチーフにした、ボールオーナメントやモール人形などが飾られていて、とっても個性的!
しかもこれらはスタッフが手作りしたものだとか。1つひとつがキュートで、ユーモラス。見れば見るほど、じんわりと心が和んでいきます。
中央ホールは、明るくて開放感たっぷり。派手な装飾とは異なる、ほのぼのとした温もりが漂います。
ホールの一角では『パン種とタマゴ姫』の希少なパンフレットも展示。ファンの方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
常設展示室のデコレーション
建物は地下1階、地上2階建て。1階の見どころは、常設展示室「映画の生まれる場所(ところ)」です。5つに分かれた部屋は、不思議なアイテムがぎゅっとひしめき合う場所。部屋をぐるっと回ることで、ちょっとしたひらめきやアイデアからアニメーション映画が完成するまでの過程を楽しめます。
こちらは、アニメ好きの少年がおじいさんから譲り受けたという、通称「少年の部屋」。少年が好きなものに紛れて、楽しさ満載のクリスマス雑貨が飾られています。
「少年の部屋」にある宝箱は、自由に開けることができます。中に入っているのは、地図や王冠など。お宝1つひとつから、物語を感じられて、わくわくが止まりません。
机の上に、くるみ割り人形が置かれていたり、デスクライトにサンタさんの人形がぶら下がっていたり。少年がクリスマスを楽しんでいる様子が伝わってきます。
奥に進んだ「少女の部屋」も、見応えたっぷり。ずらっと壁に飾られているのは、この部屋で作業中の少女が描いたのかと思わせる、スタジオジブリ作品の背景画です。机の上には、絵の具やパレット、筆が転がり、ついさっきまで少女がいたかのよう!
ゆるやかな光が差し込む窓辺にも、クリスマスの飾り付けが。窓辺を彩る花柄のステンドグラスは、すべてデザインが異なる凝った造り。ステンドグラスの美しさも相まって、いつまでも眺めていたくなります。
壁に張りめぐらされた背景画の中には、見覚えのあるものも!クリスマスの飾り付けもおしゃれで、わくわくの密度が濃いスポットです。
「絵コンテ室」では、壁に飾られたクリスマススワッグがひときわ目を引きます。大きなスワッグが、空間をロマンチックな空気で満たしてくれるよう。
常設展示室を出たところで、窓からひょっこり顔を出していたのはヤギさん。つぶらな瞳がかわいらしくて、つい笑みがこぼれます。
クリスマス時期限定のスポット
クリスマスが楽しめるのは、展示室だけではありません。2階の通路ギャラリーにも注目してください。ここには、ベレー帽をかぶったパン種くんと大きなくるみ割り人形、そしてバレエの舞台を再現した2つのオルゴールが飾られています。
小さなバレリーナ人形がくるくる回るオルゴールは、目が釘付けになるほどの精巧さ!一瞬でメルヘンな世界へ引き込まれます。
2階には、宮﨑駿監督おすすめの絵本や児童書がそろう図書閲覧室「トライホークス」があります。ショーウィンドウに飾られた、個性豊かな展示も見どころのひとつ。
右手のショーウィンドウには、白いクリスマスピラミッドが飾られています。ピラミッドの中にも『パン種とタマゴ姫』の登場人物たちが飾られていて、楽しさいっぱい。
反対側のショーウィンドウをのぞくと、ミツバチたちが楽しそうに、飛び出す絵本を読んでいます。ここにいるのは、宮﨑駿監督のお気に入りの絵本『みつばちさんと花のたね』に出てくるミツバチたち。
エレベーター横には、たくさんの心温まるアイテムをカゴにのせた、クリスマス仕様の自転車がスタンバイ。さまざまなツリーオーナメントに、パン種くんに、クリスマスプレゼントまで!ツヤツヤのリンゴもおいしそうです。
クリスマス時期に楽しめる「君たちはどう生きるか」展の新展示
クリスマスムード漂う美術館のもうひとつの新しいお楽しみといえば、2024年11月23日からスタートした企画展示室の新展示。
ここでは、宮﨑駿監督が7年という長きに渡って作り上げた長編アニメ映画『君たちはどう生きるか』の、企画展示の第三部「背景美術編」が行われています。この企画展示は前期と後期で展示の入替えがあります。前期は2025年5月(予定)まで、後期は2025年5月~11月(予定)まで。
この映画の背景画は、なんとすべて手描き!トトロやもののけ姫に代表される“みずみずしい緑”ではない、敗戦を翌年に迎えた昭和19年が舞台設定の“乾いた風景”が描かれています。
宮﨑駿監督は常々「映画の品格は背景美術で決まります」と言っているように、生で見る背景画は、緻密で美しくて、不思議でいっぱい。プロフェッショナルな作品の数々に、心が揺さぶられます。
企画展を楽しんだら、ユニークなオリジナルグッズがあふれるミュージアムショップ「マンマユート」にも立ち寄って。
ショーウィンドウや店内は、クリスマスの装いになっています。
冬は太陽の位置が低くなるため、夕方になると館内のステンドグラスの影が長く大きく映し出され、ロマンチックな雰囲気に拍車をかけます。
デートで行くなら、イルミネーションが点灯する時間(16:30前後)を満喫できる、14:00・15:00・16:00の入場がおすすめ。大切な人と訪れれば、冬の忘れられない思い出を作れますよ!
チケットは、完全予約制で事前購入が必須。訪問希望月の毎月10日に販売が開始されます。特に週末や観光シーズンは、販売開始直後に完売してしまうため、早めの予約が鍵となります。
三鷹の森ジブリ美術館
- 住所
- 東京都三鷹市下連雀1-1-83(都立井の頭恩賜公園西園内)
- 営業時間
- 10:00~18:00(最終入場回:16:00)
- アクセス
- 三鷹駅南口から徒歩約15分、コミュニティバスで約5分
JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅、京王井の頭線井の頭公園駅から徒歩約15分 - 駐車場
- なし
- 公式サイト
- 三鷹の森ジブリ美術館
© 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli © Museo d'Arte Ghibli
取材・写真・文/安藤美紀