国産ジーンズの聖地!「倉敷デニムストリート」&「児島ジーンズストリート」で運命の一着を探す旅

児島ジーンズストリート

 

自分の身体に合うように育てながら、経年変化さえ楽しめるジーンズは年齢問わず、世界中で愛されるファッションアイテム。ゴールドラッシュのアメリカで労働者の作業着として誕生し、現在は日本国内でも生産されています。

国産デニムの一大産地である岡山県倉敷市は、その高い技術力やデザイン性が世界中から注目され、海外からわざわざ買いに来る人もいるほど。美しい町並みの美観地区でデニムの魅力を知り、工場直営のショップが集まる児島(こじま)地域でさらに国産ジーンズの魅力にハマる旅へ、いざ。

 

倉敷美観地区にある「倉敷デニムストリート」

倉敷デニムストリート

凛とした漆喰の白壁が路地の先まで続く、倉敷の美観地区。江戸時代より繁栄してきた町並みはその名の通り、どこを撮っても絵になる美しさです。

 

倉敷デニムストリート

今でこそ美観地区は市街地の真ん中にありますが、江戸時代は海が目の前。潮の満ち引きを活用し、町の中心を流れる倉敷川をつたって荷物が積み下ろされ、人や物が多く行き交うことで商人の町として発展しました。

 

倉敷デニムストリート

海岸に近かったことで得たものがもうひとつ。それが綿です。塩分が強い土地では農作物が育たず、その代わりに耐塩性のある綿花が栽培されました。その後、時代の変遷とともに紡績業が開花。日本遺産にも認定された国内屈指の「繊維のまち」へと成長し、国産ジーンズが誕生しました。

 

倉敷デニムストリート

「日本製ジーンズ、国産デニムが岡山で作られていることは、実はあまり知られていません。だからこそ、多くの人が訪れる倉敷の美観地区で、まずは国産デニムのことを知ってもらうのが『倉敷デニムストリート』のコンセプトです」と話すのは、店長の徳住利恵さん。

 

倉敷デニムストリート

なまこ壁の伝統的な建物の中にある「倉敷デニムストリート」では児島で作られたデニム製品をはじめ、オリジナルグッズなど雑貨類も豊富に取りそろえています。

 

倉敷デニムストリート

倉敷デニムストリートは雑貨館、レディース&キッズ館、メンズ館と分かれていて、場所ごとに異なる雰囲気が味わえるのも魅力です。

 

注目のオリジナルブランド「和蔵」

デニム

倉敷デニムストリート限定のブランドもあり、美観地区の町並みをモチーフにデザインされた「和蔵」(わくら)は人気商品。白壁をイメージしたステッチは、ジーンズには珍しい白い糸で裁縫され、内側には白壁のプリントが施されているなど、倉敷を訪れた旅の記念にもぴったりな1本です。

 

デニム

「デニムの良さは、履き続けていくと自分の身体にどんどんなじんでいくこと。経年変化が起きることで自分だけしか履くことができない、まるで相棒のような存在になります」と、徳住さん。

デニムならではの魅力をより楽しめるシリーズとして勧めてくれたのは「レインボーデニム」。デニム生地を染色する際、通常なら白い糸を使ってインディゴ染めするところを青や赤などカラフルな糸を使用。そうすることで使い込んでいくと表面のインディゴが落ち、徐々に虹色が浮かび上がるという、一緒に過ごす時間とともに味わいも深まっていくジーンズです。

 

デニム
デニム

倉敷デニムストリートのオリジナルキャラクター「DENIM BEAR(デニムベア)」のグッズも、ここでしか購入できない人気アイテム。キーホルダーやバッグもあるので、デニムと合わせてトータルコーディネートで身に付けたくなるかわいさです。

 

デニム

ジーンズ以外にもワンピースやロングスカート、ジャケットなど多種多様な商品がそろいます。ジーンズひとつでも、すっきりした印象のスキニーから王道のストレートなど、それぞれ雰囲気が異なり、履き比べることで自分好みのファッションがどんどん分かってきます。

 

デニム

倉敷デニムストリートで、デニムの良さや好きなデザインが分かり始めたら、その次のステップとして「国産ジーンズ発祥の地」と呼ばれる児島地域を訪ねるのもいいでしょう。

 

デニム色のユニークなフードメニューも

倉敷デニムストリート

倉敷デニムストリートの散策中に小腹が空いたら、テイクアウトコーナーでひと休みを。珍しいデニムカラーのメニューが充実しています。

 

倉敷デニムストリート

「デニムまん」(400円)は食欲をなくしそうな色ながらも、ついついオーダーしてしまう人気商品です。青色の正体は、食用で使われるクチナシの花。味に影響はなく、もっちもちな生地の中にジューシーな黒豚肉の餡が入っています。

ラムネ味の「デニムソフト」(500円)は、最初にブルーベリーのフルーティーな香りから徐々にラムネの爽やかな甘みが広がる、スッキリ味のスイーツです。

 

倉敷デニムストリート

すぐ近くにはベンチも設けられていて、人気のフォトスポットにもなっています。

 

倉敷デニムストリート

ほかにも、大きなDENIM BEARとツーショット写真が撮れるスペースも。倉敷デニムストリートは倉敷観光の途中で思わず長居したくなるスポットです!

 

倉敷デニムストリート

住所
岡山県倉敷市中央1-10-11 ヒルトップビル1F
営業時間
9:30~17:30(季節により変動)
アクセス
JR「倉敷」駅より徒歩約20分
公式サイト
倉敷デニムストリート

 

国内外からファンが訪れる「児島ジーンズストリート」

児島ジーンズストリート

古くより繊維工場が集まっていたことから、国産ジーンズの誕生地となった倉敷市児島。JR児島駅のアーケードにはたくさんのジーンズが吊るされ、訪れる人たちを歓迎しています。駅員さん曰く、年2回のお祭りでは制服がジーンズになるほど、デニムの存在が身近なようです。

 

児島ジーンズストリート
児島ジーンズストリート

駅のコインロッカーや自動販売機など、さまざまなものにデニムが描かれているという徹底ぶりです。

 

児島ジーンズストリート

「倉敷デニムストリート」のある美観地区から車で約30分、JR児島駅からは徒歩約12分。今にも走り出しそうな躍動感あるジーンズの看板が「児島ジーンズストリート」の入口です。かつて商店街だった約400メートルの道を中心に、40もの地元ジーンズメーカーのショップが集結しています。

 

児島ジーンズストリート

道路はインディゴカラーに彩られ、よく見るとヴィンテージの証と言われるセルビッチデニムの赤ミミまでくっきりと。デニム好きにはたまらない演出です。

 

児島ジーンズストリート
児島ジーンズストリート

入口からすぐ近くの「無人観光センター」には、児島ジーンズストリートの地図などの情報が表示されているので、まずはここでショップ巡りのヒントを手に入れてから歩いてみましょう。

 

無人観光センター

住所
岡山県倉敷市児島味野2-2-66-101
アクセス
JR「児島」駅より徒歩約15分
詳細
無人観光センター

 

街歩き&ショップ巡りが楽しい!

児島ジーンズストリート

軒を連ねるショップの中には、1965年に日本初の国産ジーンズを手掛けた「BIG JOHN 児島本店」も。世界初となるジーンズの洗い加工も発明するなど、まさに国産デニムのパイオニア的存在です。

 

児島ジーンズストリート

その近くにある「T-ASSAC」(ティーエイサック)は、女性デザイナーが手掛けるメンズライクなブランド。

 

児島ジーンズストリート

ユニセックスなデザインの中にも、ポケット位置を高くすることで女性らしい美しいシルエットに仕上げたり、デニムジャケットのラインをすっきりすることで脱カジュアル化を図ったりと、デニムコーデの幅が広がりそうな商品と出会えます。

 

児島ジーンズストリート

特に人気なのが、デニム生地のマウンテンパーカー。ゆったりとしたシルエットは男女問わず着ることができ、色落ちしにくいシャンブレー生地で織り上げているなど実用性も兼ねています。

 

児島ジーンズストリート

加工の中でも特に洗いの専門工場から生まれた「T-ASSAC」。デニム生地を洗うことで何十年も履いたような色あいを再現するエイジング加工は、職人が一つひとつ丁寧に仕上げたもの。商品の製造工程などを聞けるのも、工場直営のショップならではです。

 

T-ASSAC

住所
岡山県倉敷市児島味野2-2-83
アクセス
JR「児島」駅より徒歩約15分
公式サイト
T-ASSAC|ティーエイサック

 

児島ジーンズストリート
児島ジーンズストリート

ショップをはしごしながら、町の雰囲気を味わうのも児島ジーンズストリートの楽しみ方。頭上にはジーンズのアーチがかかり、足元のマンホールもデニム生地にオレンジのステッチ。こちらはマンホールカードにもなっていて、児島駅観光案内所で入手できます。

 

児島ジーンズストリート

児島ジーンズストリートの真ん中あたりにある味野第4公園(ポケットパーク)も、人気の撮影スポット。地元デザイナーが描いた元気ハツラツなトリックアートの傍には、ベンチやお手洗いも備わっています。

 

味野第4公園(ポケットパーク)

住所
岡山県倉敷市児島味野2-3

 

CAFE JAPAN BLUE GARDEN

ひと休みするなら、「CAFÉ JAPAN BLUE GARDEN」がおすすめ。古民家を改装したカフェでは、デニムを味わうという貴重な体験ができます。デニム特有の紺色は植物の藍に由来し、ポリフェノールが豊富に含まれていることから、薬草として親しまれてきた歴史もあるのだそう。

 

CAFE JAPAN BLUE GARDEN

その藍を焙煎した「藍茶」(500円)はやさしい、ほうじ茶のような味わい。さらに、倉敷鉱泉のラムネに瀬戸内レモンをブレンドした「青いラムネード」(660円)や、トッピングの「青い、ホイップクリーム」(150円)は澄んだ青さが目を引く、児島ジーンズストリートにぴったりなドリンクです。

 

CAFE JAPAN BLUE GARDEN
CAFE JAPAN BLUE GARDEN

「CAFÉ JAPAN BLUE GARDEN」ではコーヒーも必見。イタリア発「LA MARZOCCO(ラ・マルゾッコ)」の白桃カラーのエスプレッソマシンは特注品で、これを使って入れる「スペシャリティコーヒー」は香り高く、苦味、甘味、酸味のバランスが洗練されています。オリジナルブレンドの豆は専用のデニム生地に包まれて販売され、お土産にも好評です。

 

CAFÉ JAPAN BLUE GARDEN

住所
岡山県倉敷市児島味野1-12-16
アクセス
JR「児島」駅より徒歩約18分

 

JAPAN BLUE JEANS

児島ジーンズストリートの最奥にあるのが、「JAPAN BLUE JEANS 児島店」。築80年の古民家は気付かずに通り過ぎてしまいそうなほど町にとけ込んでいて、軒先にある青いのれんが目印です。

 

JAPAN BLUE JEANS

「JAPAN BLUE JEANS」は海外を意識し、日本の技術力を体感できるデザインになっているのが特徴。そのひとつが手仕事で生み出される繊細な色味です。

糸が密集する生地の中でも経糸(たていと)だけを選んで切ったり、異なるサイズでも同じように色の濃淡をつけたりと整然と並んでいる1本1本が、職人による技術の結晶です。

 

JAPAN BLUE JEANS

ここでしか購入できない「テーパードスビンゴールドデニム」も、そんな珠玉の1本。昔ながらのシャトル織機で時間をかけて織られたセルヴィッチ生地は、糸がふくらむことで独特の風合いが生み出されます。バックポケットのステッチは瀬戸内海の青と瀬戸大橋の白をイメージし、ブランド名のJとbをさり気なく表しているのもオシャレ!

 

JAPAN BLUE JEANS

松竹梅の欄間や雪見障子など和の趣が感じられる空間にジーンズが積み上げられている様子は圧巻で、美しいとさえ感じます。「もともと日本には古くから藍染め文化が根付いているので、だからこそインディゴは日本人の心に触れる色なのだと思います」と、広報部の室山麻実さん。

 

JAPAN BLUE JEANS

「弊社の創立者は藍染め職人でもあり、青色は幾重にもあると言っています。染色の過程で色の濃淡を調節でき、織布で緯糸(よこいと)を黒やゴールドにするだけでも雰囲気がまったく異なるなど、色の表現方法は未知数です。さらに、はきこむことで新たな表情も生まれるので、デニムはアートに近い存在ですね」と、その魅力を教えてくれました。

 

JAPAN BLUE JEANS

こちらの店舗では、希望すると15分ほどで裾上げも可能。80年物のミシンからは小気味よい音が店内に響き渡ります。丁寧な手仕事、そして良いものを作るという一途な想い。国産ジーンズに対するものづくりの一端が垣間見えました。

 

JAPAN BLUE JEANS 児島店

住所
岡山県倉敷市児島味野1-14-10
アクセス
JR「児島」駅より徒歩約20分
公式サイト
JAPAN BLUE JEANS 児島店

 

児島ジーンズストリート

「倉敷デニムストリート」と「児島ジーンズストリート」、国産デニムの二大聖地でデニムに関するさまざまなこだわりやものづくりへの熱意に触れることができました。デニム愛にあふれた岡山県倉敷市で、あなたもお気に入りの1本を探してみませんか。

 

撮影/岡村智明 取材・文/浅井みら野

 

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