箱根・仙石原に位置する、スモールラグジュアリーホテル「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」。箱根の美しい山々に囲まれ、四季の移り変わりを風と共に楽しめる特別な空間です。自然に包まれた静寂の中、源泉かけ流しの温泉に浸りつつ、美食に舌鼓を打つ1泊2日。極上の滞在体験をご紹介します。
箱根・仙石原の滞在するレストラン「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」
創業40年の歴史を持ち、全国にフランス料理やイタリア料理などのレストランを展開している「ひらまつ」。「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」は、HIRAMATSU HOTELSの3軒目として、2016年に、箱根・仙石原に誕生しました。本館とレジデンスがあり、2つの滞在スタイルを楽しめます。
ホテルがあるのは、都心から車で約1時間半、豊かな自然に囲まれた標高700mの高原地帯。エントランスから振り返ると、富士山が顔を出していました。近隣には美術館や植物園など見どころもあり、チェックインの前後に箱根観光を楽しむ方も多いのだそう。
箱根湯本駅、小田原駅、バスタ新宿より、バスも運行しているので車がない人でも大丈夫。「箱根カントリー入口」で降りれば、徒歩3分でエントランスに到着します。
美術館のようなロビーラウンジでチェックイン
エントランスからロビーラウンジへと向かい、優雅な空間で、まずはチェックインの手続きを。
窓からは、箱根の山々が望めます。新緑の季節は青々とした木々が、紅葉の季節には鮮やかに色付きます。
館内は、ピカソ、シャガールの絵画などのアート作品が飾られていて、さながら美術館のようです。モダンなデザインの中に、アンティークの調度品が佇み、ラグジュアリーな空間を醸し出します。
ウェルカムドリンクは「ヴーヴ・アンバル」のスパークリングを使ったカクテルや生ビール、星付きレストランで採用される、フランス産ジュース&ネクター「アラン・ミリア」のソフトドリンクから選べます。優雅な空間でドリンクを飲みながらのチェックイン、非日常へと誘われます。
チェックインの際に、朝晩の食事内容の説明に加え、アレルギーや苦手な食材の確認をしてもらえます。宿泊者ならだれでも無料で利用できる、貸切露天風呂の予約もこのときに行います。
半露天風呂の贅沢空間が広がる「本館 デラックスツイン」
客室は本館11室、レジデンス9室の全20室。今回宿泊したのは、本館3階「デラックスツイン」。落ち着いた雰囲気の室内に、ビビッドな色彩や近代的なデザインを取り入れ、独自の世界観を作り出しています。エキストラベッドを入れれば3名まで宿泊可能です
約69平米のお部屋には、ベッド&リビングスペースの先に、源泉かけ流しの温泉風呂が設えており、贅沢な空間が広がります。
HIRAMATSU HOTELSの中でも、源泉かけ流しのお風呂が楽しめるのは仙石原だけ。すべてのお部屋に温泉風呂があり、美肌の湯と称される新姥子(しんうばこ)温泉を楽しめます。窓を開放すれば、外までシームレスにつながり半露天風呂に。大人2人が入っても十分にくつろげる広さです。景色を眺めながら、何度でも優しい泉質の湯に浸かりたくなるでしょう。
バスタブとは別に、シャワーブースも完備。洗面台は、お風呂を真ん中に2台備わっており、2人同時に身支度を整えられます。驚いたのが、バスルームの床全体が床暖房になっていること。足元が暖かいだけでなく、水はけも良いです。
バスアメニティは、高級ブランドの「ブルガリ」。シャンプー、コンディショナー、ボディウォッシュ、ボディミルク、石鹸を用意。上質な香りにうっとりとします。
ヒノキ製品の製造過程で排出されるカンナくずを入浴剤にした「ヒノキリボン」。湯船に浮かべればふわりとヒノキの香りが漂います。
テラスに出れば、箱根外輪山の山並みが連なる雄大な景色が広がり、天気の良い日には富士山も望めます。椅子に座ってのんびりと景色を見るだけでも癒やされていくのを感じるでしょう。
おもてなしの心を感じるアメニティサービス
客室内の冷蔵庫内のドリンクはすべて無料。「アラン・ミリア」のジュースや「アサヒ プレミアム生ビール 熟撰」などが入っています。お風呂上がりや朝の一杯に、うれしいサービスです。
ひらまつオリジナルブレンドのハーブティー・紅茶・緑茶に加え、ネスプレッソもあります。
ウェルカムスイーツは、伝統工芸・箱根寄木細工の中に入っていました。ここにも箱根らしさを感じます。
パジャマ(左)と部屋着(右)が分かれているのもうれしい。どちらも上下セパレートタイプで、肌触り抜群です。部屋着は、貸切露天風呂へ行く際にも着用できます。
他にも、無料で利用できるセルフランドリーのサービス、カールドライヤーやヘアアイロンなどの貸し出しサービスもあり、ホテルの細やかな心遣いを感じます。
広々としたテラスが特徴の「レジデンス ジュニアスイート」
レジデンスの2階と3階にある「ジュニアスイート」は、リビングルームとベッドルームを有するスイートタイプの客室です。81平米の広さを誇り、まるで自宅のようにくつろげます。
室内にはイタリア製の上質なソファやアンティーク家具を配しています。エキストラベッドやソファベッドの使用で4名まで利用できるので、2世帯でのステイも可能です。
2部屋にまたがるテラスからの眺望は圧巻。レジデンスのバスルームでも、源泉かけ流しの新姥子温泉を楽しめます。本館は2食付きプランが基本なのに対し、レジデンスは、朝食のみのシンプルなプランも選べるので、ステイスタイルに合わせて、自由な滞在が叶います。
貸切露天風呂で、箱根の景色をひとりじめ
レジデンスから小路を抜けた先に、無料で利用できる貸切露天風呂があります。2部屋に分かれていますが、造りはほぼ同じで、湯船のふちに檜を用いた広々とした露天風呂です。日中は壮大な景色が広がり、夜は静寂とともに星空観賞も楽しめます。
15:00~23:40、6:00〜9:40の間で、1泊につきお部屋ごとに40分間貸し切れるので、存分に贅沢な空間を堪能できます。
パウダールームと洗い場には、タオル類やお水、「LEAF&BOTANICS」のバスアメニティも完備。部屋から手ぶらで向かえます。
スパ「SALON」でリフレッシュ
レジデンス館内には、フランス・パリのブランド「YON-KA(ヨンカ)」の天然オイルを使用したトリートメントを受けられる専用ルーム、スパ「SALON」があります。2名同時施術も可能。利用には事前予約が必要なので、宿泊予約の際にお問い合わせください。
ランニングマシーンやフィットネスバイクなどがそろうトレーニングルームは、8時〜20時まで使用可能。お水やハンドタオルも置いてあります。
五感で楽しむディナーはオリジナルのイタリア料理
お部屋でゆっくりと過ごしたあとは、レストランにて、お楽しみの美食体験の始まりです。名画が飾られた開放感あふれる空間で、季節ごとに異なる表情を見せてくれる箱根の景色を眺めながら、フランス料理の技法も取り入れたオリジナルのイタリア料理を堪能します。
料理長を務めるのは、ひらまつで20年以上腕を振るう漆原卓シェフ。リストランテASOやラ・フェットひらまつなどで、イタリア料理やフランス料理を学んできました。ひらまつの名だたるシェフから学んできた技法に、漆原シェフのクリエイティブが加わったオリジナル料理を頂けます。
このホテルでしか味わえない料理を追求し、自身で生産地を訪ね、全国各地の厳選した食材を取り入れています。
コース内容は季節ごとに変わりますが、この日は「フランス産グリンピースのジェラート」からスタート。デザート……?と思いきや、前菜です。漆原シェフはパティシェの経験もあるので、こちらを一皿目に考案したのだそう。グリンピースをひと粒ずつはいで裏ごししており、舌触りもなめらか。予想外の始まりに、次は何が?と、心躍ります。
二皿目は、栃木県産のヤシオマスの炙り。口に入れたときに香ばしさを感じ、柔らかい身には脂もしっかりと乗っています。付け合せには佐賀県産ホワイトアスパラガスと春の野菜を。柑橘香るオランデーズソースと合わせて頂きます。
独創的な料理の中でも、特に驚いたのが魚料理。「産地直送金目鯛のヴァポーレ」を筍入り桜餅と合わせて味わいます。まさか、イタリア料理で桜餅が出てくるとは思いませんでしたが、桜餅の柔らかさが、金目鯛のパリッとした皮目を引き立てます。
肉料理は「ブルターニュ産仔牛のインボルチーニ」。セージ香るソースとともに頂くお肉は、とても柔らかくジューシー、セージの爽やかさがアクセントになっています。
料理に合わせてソムリエの方がすすめてくれたのは、柔らかくリッチで濃縮された味が特徴の「Pommard 1er Cru – Les Charmots 2017」。料理やテイストの好みに合わせて、様々なワインを提案してくれます。すすめてくれた一杯も、料理との相性に加えて、まさに飲みたかった味わいで、サービスの素晴らしさに感動しました。
前菜からはじまり、デザート・小菓子まで全7品のコース。オリジナリティあふれる料理は、見た目が美しいのはもちろん、お腹も心も満たされます。たんに料理を楽しむだけでなく、五感も刺激される美食体験で、とても印象に残りました。
素材のおいしさを感じるコース仕立ての朝食
温泉と美食に癒やされ、ぐっすりと眠ったあとは、お楽しみの朝食タイム。ディナー時と同じダイニングへと向かいます。
HIRAMATSU HOTELSの特徴として、朝食もコース仕立てで提供されます。温かいものは温かく、冷たいものは冷たくと、ひらまつのおもてなしの心を感じます。また、チェックアウト後の箱根観光も楽しんで欲しいという想いから、厳選された食材をちょうどよい量で提供することを心がけているのだそう。
甘みがぎゅっと詰まったせいろ蒸しのお野菜や、焼き立てパンを頂いていると「モッツアレラチーズ入りスフレオムレツ」が運ばれてきました。口に入れるととろけてしまうふわふわ食感に、思わず笑みがこぼれます。
最後のデザートにはフルーツのマチェドニアとパンナコッタが提供されました。朝からデザートまで頂けて、贅沢な気持ちに包まれました。チェックアウトの11時までは、温泉に浸かったり、お部屋でのんびりと過ごしたりして、時間めいっぱい堪能します。
※料理・サービスは取材時の内容です
美食ステイを満喫するおすすめの過ごし方
HIRAMATSU HOTELSでは、熱海、箱根の2軒に女将がいます。ヨーロッパではシェフと一緒にマダムがレストランを支えることが多く、その日本版ということで女将なのだそう。早速、この宿の女将である岩﨑さんにおすすめの過ごし方を伺いました。
「可能であればチェックイン時間の15時にお越しいただき、まずは温泉に浸かってゆったりとくつろいでから夕食を召し上がって、お休み前や朝食前に再度温泉へ、そして朝食を召し上がって、11時のチェックアウトまでゆっくりとお過ごしください。普通の過ごし方ではあるのですが、自然に囲まれた空間で、時間めいっぱいくつろいでいただければと思います。」
食事を楽しんだあともゆっくり過ごして欲しいとの想いから生まれたHIRAMATSU HOTELS。「滞在するレストラン」だからこそ楽しめる、美食ステイをここでは堪能できます。
新緑に染まる景色を眺めながら過ごす1泊2日は極上のひととき。ラグジュアリーホテルですが、スタッフの方もみな親しみやすくウェルカムな感じで、とても居心地良く過ごせました。さらっと伝えた一言を覚えていてくれるなど、サービスも素晴らしく、記念日や誕生日のお祝いに利用する方が多いというのも納得です。
レストランを手掛けるひらまつだからこそできるおもてなしの数々。四季折々の食事を味わったあとに、そのまま泊まれるなんて贅沢の極みではないでしょうか。さらに、源泉かけ流しの温泉までついている。「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」では、チェックイン〜チェックアウトまで、思いっきりおこもりステイを堪能してみてはいかがでしょうか。
THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原
- 住所
- 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1245-337
- アクセス
- 箱根湯本駅からバスで約35分
- 駐車場有り
- 20台 無料
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 11:00
取材・文/加藤あやな
撮影/久保田耕司