カメラマンが教える絶景&撮影テクニック~九州で冬に見られるおすすめの風景~

志高湖

大分・熊本・福岡など九州で見られる冬の絶景!

九州は一般的に温暖なイメージがあると思いますが、山沿いに少し車を走らせれば、美しい冬の風景に出合うことができます。今回は、福岡出身で現在も九州を中心に活動する写真家・清家道子さんがおすすめする、大分・熊本・福岡など九州の冬の絶景スポットへご案内します。

 

写真家
清家 道子(せいけ みちこ)さん

日本写真家協会会員。 福岡県生まれ。1987年よりカラーコーディネーターとして福岡で起業。20年以上、カラーデザインやカラーマーケティングなどの仕事を手がける。2009年より趣味だった写真を本格的に始め、風景写真家に。地元九州を中心に、日本全国の美しい風景を撮影。2012年より企業カレンダーを手がけるほか、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会なども行っている。YouTube「清家道子チャンネル」では、風景ショートムービーや撮影テクニックなどを配信中。

清家道子さん

 

おすすめの絶景【1】志高湖

志高湖

大分県の鶴見岳と由布岳に囲まれた「志高湖(しだかこ)」。標高約600メートルの場所にあるため、かつては冬になると結氷し、スケート場になっていたそうです。今ではそこまで厚い氷に覆われることはなくなりましたが、それでも冬の寒い日にはここでしか見られない幻想的な冬の絶景に出合うことができます。

冷え込んだ朝にカメラを持って出かけてみましょう。まずは、前日に天気図をチェック。放射冷却で思い切り冷え込んだ朝が狙い目です。山沿いの道路は雪が積もっていることもあるので、スタッドレスタイヤなど車の装備は万全に。路面凍結しているとスタッドレスが効かない場合もありますので、安全運転を心がけましょう。

 

志高湖

志高湖の薄氷はさまざまな模様を作ってくれます。薄氷の風景は、温暖な九州独特と言ってもいいかもしれませんね。お昼頃になると溶けてしまうこともあるので、できるだけ早い時間帯に行くようにしましょう。

また、結氷した雪が溶け始めると氷のサークルを見られることも。志高湖は一周約1.7キロメートル。のんびりと散策しながら、冬の風景を切り取るのも楽しいですよ。

 

志高湖

朝の光を浴びる志高湖の薄氷。このキラキラした風景は冬だけのものです。少し溶けた水や氷紋(ひょうもん※氷の模様)が美しく輝き、きれいなラインを描いています。

 

志高湖

飛沫氷(しぶきごおり)は、冷え込んだ朝にできる氷の造形。志高湖は風の影響で湖畔に波が立っており、波打ち際にある木の根や草に水が付き、それが朝の冷気で凍りつくことでさまざまな形の飛沫氷になるのです。

飛沫氷は雪が積もってしまうとわからなくなるので、お天気がよく冷え込んだ朝がおすすめです。

 

志高湖

志高湖のコブハクチョウのカップル。春になるとコブハクチョウの子どもが生まれ、その愛らしい姿が多くの観光客を楽しませてくれます。

 

志高湖

住所
大分県別府市別府4380-1
アクセス
【電車・バス】JR「別府」駅よりバス「志高湖」停下車

 

おすすめの絶景【2】東椎屋の滝

東椎谷の滝

「東椎屋の滝(ひがししいやのたき)」は、日本の滝100選に数えられる九州有数の名瀑。寒い日が続くと氷瀑となり、巨大な白い宮殿のような風景を見せてくれます。季節限定の圧巻の景色を、ぜひ写真に収めてみてください。

氷はお昼くらいになると徐々に溶けてしまうので、できれば午前中のうちに訪れるのがおすすめ。滝壺に行くまでの道のりも凍っていて非常に滑りやすいので、軽アイゼンなど滑り止めのついた靴を用意しましょう。

 

東椎谷の滝

こちらは、東椎屋の滝に行く途中で見られる氷柱(つらら)。この一帯は岩清水があちらこちらから流れていて、滝壺に行くまでにさまざまな形の氷柱の風景を撮ることができます。

 

東椎谷の滝

氷柱を真っ直ぐに撮る時は、80mm前後の標準域のレンズなら歪曲せず、垂直に撮ることができます。氷の風景を撮るときはレンズ選びも大事です。

 

東椎屋の滝

住所
大分県宇佐市安心院町東椎屋
アクセス
【車】東九州自動車道「安心院」ICより約15分

 

おすすめの絶景【3】山下湖

山下湖

大分方面には結氷する湖がいくつかありますが、「山下湖」もそのひとつ。夏は爽やかに広がる湖が美しく、観光客も多い場所ですが、寒い冬には人もまばらです。

湖面は凍り、その氷紋の様子は雄大で荘厳な気配すら感じます。風は冷たく寒さは厳しいですが、ここも冬ならではの風景に出合える好きな場所です。水辺は土が柔らかく、膝まで沼に浸かってしまうことがありますので、奥まで行きすぎないように注意して散策しましょう。

 

山下湖

住所
大分県由布市湯布院町川西
アクセス
【車】大分自動車道「由布院」ICより約20分

 

おすすめの絶景【4】平尾台

平尾台

福岡・北九州市にある日本三大カルストのひとつ「平尾台」は、天然記念物・国定公園・県立自然公園の指定を受けています。羊群原(ようぐんばる)と呼ばれる石灰岩群は南北6キロメートル、東西2キロメートルにわたり広がり、点在する石灰岩の形はさまざま。「ライオン岩」「キス岩」などユニークな名前が付けられており、石灰岩を貫いて伸びるこの写真の木は、「ど根性木」と呼ばれています。

確かにすごい生命力を感じますね。春の新緑の頃も素敵ですが、雪が積もると羊群原は陰影を増し、さらに不思議な世界へと変わっていきます。ここでお気に入りの岩を見つけて、写真を撮るのも楽しいですよ。機会があれば、ぜひ訪れてみてください!

 

平尾台

住所
福岡県北九州市小倉南区平尾台
アクセス
【車】九州自動車道「小倉南」ICより約20分

 

おすすめの絶景【5】古閑の滝

古閑の滝-

熊本県阿蘇市の「古閑の滝(こがのたき)」は、落差約80メートルの男滝(おだき)と約100メートルの女滝(めだき)でできている滝。厳しい寒さが続くと圧巻の氷瀑ができ、強い冷風に巻き上げられた水飛沫はまるで華のような造形美を作りあげ、見るものを魅了します。

展望できる場所から滝までは距離があるので、望遠レンズを持参して美しい”氷の華”を撮ってみましょう。駐車場からは徒歩15分ほどゆるやかな坂道を歩きますので、歩きやすい靴も忘れずに。

 

古閑の滝

滝壺付近では、水の流れと氷の造形を楽しむことができます。広角レンズやマクロレンズなどもあるといいですね。

 

古閑の滝

住所
熊本県阿蘇市一の宮町坂梨
アクセス
【電車・車】JR「宮地」駅より約15分

 

おすすめの絶景【6】男池

男池

冬の原生林もなかなか神秘的で、写真を撮りたくなる気持ちをかき立てられます。秋の彩りが消え、そこにあるのは木々や岩のシルエットだけ。でもそこに目を向けると、冬らしい個性的な被写体が眠っています。

大分県由布市にある湧水群「男池(おいけ)」にはいろいろな奇樹があり、そこに降り積もる雪がさらに神秘的な雰囲気を演出してくれます。レンズは標準~広角があれば、さまざまな切り取りが可能です。

ここへ行くには、歩きやすい登山靴がおすすめ。駐車場は無料ですが、清掃協力金100円(中学生以上)が必要なので準備して向かいましょう。

 

男池

住所
大分県由布市庄内町阿蘇野
アクセス
大分自動車道「湯布院」ICより約50分

 

撮影・文/清家 道子

 

 

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