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迷宮の古都に迷い込む非日常のひととき
迷路のようなメディナ散策が楽しいフェズ。1000年以上昔の建物が今も生き続ける幻想的な街並みは、まるで映画のセットそのもの。ここではモロッコ人に混ざって、ゆっくりと街歩きを楽しみたい。
カサブランカから列車で4時間。モロッコ最初のイスラム王朝の都で、「生きた世界遺跡」とも呼ばれるフェズに出かけよう。メディナは周りを城壁で囲まれていて、青のタイルが美しいブー・ジュルード門を一歩くぐると、そこは混沌と幻想が混ざり合う異国そのもの。
ひしめく露天の間に集う物売りや大道芸人たち、ジュラバ(モロッコの伝統服)に身を包んだ老人たち、ヒジャブ(イスラム女性特有のスカーフ)を被った女性やアラブの商人……。地元民も観光客も、ここでは誰もが思い思いに買い物を楽しんでいる。露店は、革製品、電化製品、衣服類、食品類などと場所ごとに分けられていて、日用品から土産物までほぼ何でも揃う。細道に入るとすっかり方向感覚を失ってしまい、来た道へはもう戻れないのではないかと、不思議な感覚に陥る。
モロッコは手仕事が今も息づいている国で、フェズでも街の至るところで職人に出合える。革や布の染色、銀細工、食器へのハンドペイント、民芸楽器などなど、今も昔も変わらない伝統的な営みに、しばし時を忘れてしまう。特にスーク・ダッバーギーン(タンネリとも呼ばれる)は、フェズ川のほとりに位置するなめし革染色職人街では、一見の価値あり。いくつも並んだ円い染色おけに、一枚一枚革を漬けては乾かす職人たち。茶色の地面に赤や黄色の革のコントラストが映え、見惚れてしまうだろう。
メディナの北に位置する丘の上から望む、フェズの夜景。まるでアラビアンナイトそのものの光景にうっとり。
モロッコのメディナはどれも複雑だけれど、フェズの街並みは間違いなく最も複雑で完全に迷路。
世界遺産の赤い街、マラケシュで彷徨う
モロッコ旅行のハイライトといえば迷宮都市と砂漠。まずは屋台が建ち並び、大道芸人が妙技を披露する喧噪と情熱の街、マラケシュへ。インテリアがカワイイ、リヤド(古い邸宅を改築したプチホテル)に泊まって、無数にあるスーク(市場)で買い物三昧を楽しんで。そしてマラケシュから砂漠ツアーに参加。ラクダに揺られてサハラ砂漠の雄大な景色を眺める。星空の下、砂漠のテントで一泊すれば忘れがたい思い出になるはず。
カサブランカから列車に乗って3時間半ほどでマラケシュに到着。そこからメディナまではグランタクシーで30分くらい。マラケシュは大きく新市街と旧市街に分かれている。新市街には大型のラグジュアリーホテルが揃っていて、旧市街はリヤドと呼ばれるプチホテルの人気が高い。新市街から喧噪の旧市街に散歩がてら行くか、旧市街で彷徨いながら滞在するかはあなたのスタイル次第。どちらのホテルもお洒落なモロカンインテリアで彩られているから、モロッコを感じるには十分。
赤い土壁の城壁の中は世界遺産「ジャマ・エル・フナ広場」。ここは夕方になると多くの屋台が並ぶ。ケバブやタジン、クスクスなど、モロッコ伝統料理が手軽な値段で楽しめる。そして周囲にはたくさんの大道芸人たちが登場。食後、フレッシュなオレンジジュース片手に見物を楽しんで。お腹がいっぱいになったら、スークでお買い物を。バブーシュやマルシェバッグ、山羊革製の丸いクッション、プフなどカワイイ雑貨が目白押し!楽しく値段交渉しながら、モロッコのお土産をゲットしよう。
マラケシュはモロッコ旅行のハイライトとも言える街。少々しつこい物売りがいたり、リヤドまでの道が分かりづらかったりするけれど、そこは「迷宮」と称されるゆえん。街全体に溺れるつもりで彷徨ってみよう!
マラケシュのメディナ(旧市街)にたくさんあるリヤド。車も入れない小さな路地の扉を開ければ、中庭を中心に部屋が配された極上のプライベート空間が広がる。センスの良いモロッコスタイルのインテリアも◎
【Dar Warda】
<住所>
266 Derb Sidi Bouamar Riad Laarouss, Marrakesh
サハラ砂漠へはマラケシュからツアーが出ている。車や途中のホテル、食費などインクルードされたものが一般的。また砂漠の玄関口、メルズーガまでバスなどで行って、そこから砂漠ツアーに参加することもできる。道中は険しい山々を通り、一本道の荒野をひた走る。また「カスバ街道」と呼ばれる要塞都市の遺跡など見所が満載。旅程に余裕があれば、小さな町々に立ち寄りながら行くのも楽しい。
メルズーガに到着したら、ホテルでサハラ砂漠1泊ツアーに参加。ラクダに乗ってキャンプに向かう。ツアーのほとんどはテントでの宿泊、食事が含まれている。炎天下でのラクダ移動は3時間ほどになるので、日射し対策は万全を期して欲しい。また砂漠では温度変化が激しい。朝晩はとても冷えるので、防寒対策もしっかりと。
サハラ砂漠の魅力は、なんと言っても砂が織りなす未体験の美しさ。光によって砂の色が変化して、風が作り出す風紋の美しさは筆舌につくしがたい。そして夜は流れ星が無数に現れるプラネタリウムの世界。サハラの砂の上に身を投げ出して、空を見上げる体験はモロッコの旅をきっと一生忘れられないものにしてくれる。迷宮都市からサハラ砂漠へ、喧噪から静寂へ。この2つを体感すればモロッコを制覇したも同じ。TRANSIT本誌も参考に、モロッコの美しき世界に触れてみて!
ほとんどのメルズーガのホテルから砂漠1泊ツアーが出ている。ラクダに乗ってサハラ砂漠を3時間ほどでキャンプに着く。星空の下で食べるモロッコ料理は格別。テントで寝て、朝日を眺めよう。